(...今日は取引先の挨拶か...ダルい...) 今日もいつもと変わらない時刻に、いつもと変わらない電車に乗車し、勤務先に向かう。変わり映えのしない毎日に少し嫌気が差すのもいつものこと。 通勤ラッシュの人混みをかき分け改札を出る。 ガッ 人と肩がぶつかるのも慣れたものだ。軽く相手に会釈をしてそそくさとその場を後にする。 薄暗い路地。会社に向かうにはこの路地以外にも道はあるが大通りで人も多いのでいつもここを通る。 (...珍しく人がいる...) 向かいから歩いてきたのはかなり大きいリュックを背負い、目に向日葵の形をしたモノをつけ、ローブを着ている...人間...なのかもわからないが...まぁ...人外ではないだろう。ここに俺以外に人が通ったのはちょうど半年ぶり。ちょっと嬉しいよね。 その人は俺に気付いたのか目線を合わせてきた。 (なんだこいつ...知り合いかな...?) 心当たりなんて全く無いのだがもし本当に知り合いだったら申し訳ないし、ずっと目線を合わせてくるのも気持ちが悪いので話しかけてみることにした。 「...あの〜...私に何か用ですか?」 いつものビジネススマイル 「...」 いやなんか言ってくれよ 「...”非日常”に興味はお有りで?」 「はい...?」 何いってんだコイツ...話しかけたらダメだったか...? そんな事を考えていたらいつの間にかソイツは俺の目の前にいて 俺の頭を片手で 鷲掴みにした 唐突に気持ち悪さと激しい頭痛に苛まれた。 「グッ...は...なせ...!」 単純にコイツの握力がとんでもないのかと思ったがなにか異物を流し込まれているらしかった。 意識が薄れる 俺はいつの間にか倒れ込んでいた。 何があったのだろう。 途中で痛みのあまり気絶してしまっていたらしい。 頭を鷲掴みにしたソイツは居なくなっていたがその代わりとでも言わんばかりに俺の頭にお椀みたいなのが乗っかっていた。 (...なんだこれ) 取ろうとした。 ...取ってはいけない気がした。 根拠はない。なんとなく。 取ろうとした瞬間、意識が何者かに乗っ取られるかのような、そんな感覚がした。 足元に紙が落ちている事に気づいた。 『”非日常”のプレゼントです』 『もし要らないのであれば、私にやられたのと同じ方法で誰かにプレゼントしてあげてください♪』 ...最後の「♪」が凄いムカついた。 こんな非日常は望んでない。 「...誰かにプレゼント...ね。」 俺はこの日から”非日常”を脱するため 人生で初めて”日常”を取り戻すため そのプレゼント相手を探すことにした。