暗い...ここは何処だ? たしか俺は...治療法のない病気に罹って...。 病院にしては暗すぎるし、でも俺が居たのは病室だ。 『...生きたいな。』 ...なんで今更こんなことを...もう治ることはなくて、死を待つしか俺に出来ることはないのに。 【だがお前は願い続けている。もう叶うことのない願いを...】 『あぁ、そうだな......って誰だ!?』 【俺はお前を迎えに来た”死神”だ。】 肝心のその”死神”の姿は見えない。声だけが聞こえてくる。 『死神...ってことは俺は死ぬのか...?』 【あぁ、死ぬ。】 死神はスパッと言い切った。 『なんかあっさりしてるな...』 【...でも気が変わった。】 『え?』 【死ぬ運命を受け入れつつも心の何処かではまだ生きたいと願っている...面白いと思ってな。俺がお前を生かしてやる。】 『い...いいのか?本当に?』 【あぁ。だがそのかわり、お前には俺の”呪い”がかかる。その呪いの影響で元の生活に戻ることは難しいかもしれない...それでもいいか?】 『...うん。俺は生きたい...もっと生きていたい!』 【...そうか。では...】 目の前が真っ白になる。 「ん....」 目を開けると病室の天井が見えた。目を覚ました!と騒いでいる声も聞こえる。俺...本当に生きてんのか...。 それからはずっと寝たきりだった所為で衰えた体のリハビリをしながら、家族や友達と今まで話せなかった分、沢山話して、日常を過ごしていた。 医師もビックリするぐらいの驚異的な回復スピードだったらしく、俺は一ヶ月もせずに退院が決まった。 退院の一週間前。異変は起きた。 【久しぶりだな。】 「...は?」 確かに、あの時の死神の声がした。でも近くにいる患者は気付いていない...ということは... 【周りの人間には聞こえていない。お前の頭に直接語りかけてるからな。】 そうゆうことか...。 【これが”呪い”だ。死神の意識が残る。それと...】 「大丈夫か!?」 友達の声で死神の意識が途切れた。 「...何が?」 「何がってお前...めっちゃ呻いてたぞ...?自覚ないのか?」 「...は...?」 死神の呪い。それは死神の意識が頭にあること。しかしそれは傍から見ればうめき声を上げ、苦しんでいるようにしか見えないらしい。俺は度々これに苛まれた所為で医師からは気味悪がられ、親は俺を捨て、友達は会いに来なくなった。 おまけに不老不死もあるときた。もう人間ではない。離れるのも、当然か。 一週間後。 退院したのは良いが俺に居場所はない。だから旅をすることにした。幸い、相棒はいる。一人じゃない。 「何処行く?」 【日本一周しようぜ〜】 「いいね。行こうか。」 それから100年の間は日本一周、世界一周をして、今はまた日本に戻ってきている。100年もすれば世界は変わるわけで、一度来た場所でも色々変化があって面白い。 俺の体にも変化はあった。不老不死...これの不死がなくなった。前まで何があっても死ななかったから食事の必要無かったんだが、最近食べないとダメになってきた。ただ... 【なぁあれ食べようぜ!!!!】 「食べるのはお前じゃなくて俺なんだけど...」 あいつの意識だけは薄れることがない...笑 まあいい。今では、家族で、友達で。 俺の相棒なんだから。