曲が流れますYO。 聖杯への道 洞窟の中には青い結晶が生えていた。そして、魔力が漂っている。ここまで魔力で満ちていたら、確かに呪いを解けるほど強い湧き水があるだろうな。少し奥に進んでみると、光る紫色の植物が生えていた。魔力がある環境でしか育たない、エミネシスという植物だ。エミネシスは強力な薬にも使われる植物で、蜜には吸った者を気絶させる効果がある。トレアディスが好きな植物だ。...もしかして、あの罠にはめられた時に、トレアディスが剣に塗っていたのは、エミネシスの蜜か?あれも紫色だったし。 さらに進んでみると、上から結晶を生やしたナメクジたちが降ってきた。結晶ナメクジたちは俺たちを見ると、結晶の混じった液体を飛ばしてきた。急いで溶けにくい盾を構えたが、防ぎきれず当たってしまった。液体の当たった鎧の一部が溶けてしまった。防御が薄い部分に一回でも液体を当てられたら、体も溶けるだろうな。シャラゴとレナのように、防御が薄い奴は後ろに回さないとな。二人が魔法を使えて良かった...セドリックは弓も使えないし、戦える魔術もそんなに使えないからな。サポートもシャラゴの方が上手いし。 「シャラゴとレナは後ろで遠距離の攻撃をしてくれ。」 「分かった。」 シャラゴとレナは大量の結晶ナメクジに向かって魔力の矢を飛ばした。が、結晶を生やしているナメクジだからか、魔術がそこまで効かない。 「ナメクジが多いな。さすがにこの量は対処しきれんぞ。」 今更だが、ナメクジしか出てこないな。普通、洞窟にはナメクジ以外の生物も居るはずだが...。誰かが大量にナメクジを放ってでもいるのか? 「ナメクジはもう無視して走って行きましょう!これじゃキリがありません。」 「そうだな。」 「転ばないように気を付けろ。」 俺たちは走って洞窟の奥に向かって走った。何回かナメクジに靴を溶かされたが、無視して走った。走り続けていると、急な坂が見えて来た。苔も生えていて濡れている。滑って行こう。苔を滑って坂を下ると、魔力を宿した小さい植物が沢山生えている場所に着いた。魔力の植物が光っているため、明るかった。周辺を歩いていると、地面に穴があることに気が付いた。もう一つの洞窟と繋がっている。皆でその穴に入ってみると、そこは強い魔力を宿した結晶が生えた、広い空洞だった。そして、そこにはエミネシスの花を摘んでいるトレアディスが居た。 「やっと来ましたか。待ちましたよ。」 トレアディスはそう言うと、何らかの魔術を使った。その瞬間、皆が膝から崩れ落ちた。皆の腹部と腕と足に紫色の魔術の輪が付いている。紫色の魔術...禁忌の魔術か! 「トレアディス!魔術の拘束を解け!」 「解いて欲しいなら、私を殺してください。もし私を殺すことができたら、魔術の拘束は自然に解けます。殺せたら良いですけどね。」 「絶対に殺してやる。」 「良いですよ!その顔!」 「戦友だからと言って、容赦はしないぞ。」 俺はそう言いながらトレアディスを斬った。そこまで深くは斬れていない。トレアディスは傷口を押さえながら、俺を魔術で拘束して、何かの薬を飲ませて来た。強烈な眠気がしてきた...エミネシスの蜜だ。耐えなければ...!手に剣を刺せば痛みで眠ることもないはず。手に剣を刺すと手からは大量の血が流れて来た。痛い...が、これで戦える。 トレアディスは俺より強い。まともにやり合えば、確実にやられる。自分より強い相手に勝つことができる技は居合だ。居合懸けるしかない。俺は剣を鞘の中に収めて構えた。すると、トレアディスも剣を上段で構えた。成功するかは分からない。が、自分より強い相手に勝つ技はこれしか持っていない。 「君は沢山の民を救える程の力がある。だが、君はその力を復讐にしか使っていない。民の命を無駄にしているんですよ。」 「人の命を軽く見るお前が何を言う!」 「もう同じ過ちを繰り返して欲しくないんです。仲間だけでも救ってみてくださいよ!」 俺は刃が僅かに当たるくらいまでの距離まで近づき、魔力を込めて斬りつけた。が、トレアディスの鎧に傷をつけることしかできなかった。そのまま俺はトレアディスに胸を刺された。 「あぁっ!...はぁ、はぁ、クソ...このままじゃ...ぐっ!」 「終わりですか。君が私を殺さない限り、皆さんは動くことができませんよ。」 「黙れ...!」 「喋ると余計苦しくなりますよ。」 トレアディスはそう言うと、倒れている俺の背中を刺した。さすがに...もう動けないな。このまま死ぬか...。 目を瞑ると、青白い光が見えてきた。その青白い光はソウルと黒い靄を纏っていて、どこか冷たかった。光は次第に強くなっていき、俺の体を包んだ。不思議と力が湧き上がってくる。目を開くと、剣に青白い炎が宿っていた。体からソウルが滲みだしている。そして、体が削れていく様な感覚がする。俺は周りに漂っているソウルを集めて、ソウルの球を作り、トレアディスに投げつけた。すると、トレアディスは焦ったような姿を見せ、灰を撒いて逃げて行った。トレアディスの撒いた灰をしばらく見ていると、急に意識が朦朧としてきた。力を振り絞って立とうとしたが、そのまま倒れてしまった。 目を覚ますと、目の前に俺に回復の神術を使っているシャラゴの姿があった。 「やっと起きたか。」 「...。俺は...生きてるのか?」 「私が回復の神術を使っているから当たり前だろう。お前は暴れて倒れたんだ。お前が使っていたのは報復の炎と言って、ソウルの魔術が使える者が何かに強い恨みを抱えているときに使えるものだ。ここは魔力が大量に漂っていたからお前は無傷だが、本当は魔力の使い過ぎで死ぬことがあるようなものだ。気軽に使ってよいものじゃないぞ。」 「いや、そもそも使い方が分からない。」 「お前は使い方が分からなくても使うんだ。これを食え。」 シャラゴはそう言うと、俺の口に何かを詰め込んだ。何だこれ...苦いな。 「何するんだ!」 「テュクスの葉だ。魔力をこれで回復しろ。」 「ゲホッ、ゲホッ...無理矢理人の口に詰め込むのはどうかと思うぞ。」 「黙れ。コイツらも起こすぞ。お前も手伝え。」 「分かった...ああぁぁぁっ!」 テュクスの葉を飲み込んだ瞬間、体中に激痛が走った。これ本当にテュクスの葉か? 「あぁすまん。テュクスの葉とベムの葉を間違えてしまった。」 ベムは川の近くに生える毒がある草だ。食べると体中に激痛が走る草だ。 「何で...そんなの...持ち歩いてんだ...」 「やはり人が苦しんでいる姿はいつ見ても飽きないな。」 何で上層部はこんな危険な奴を放っておいたんだ...。 「...そういえばお前、トレアディスの魔術を見たか?」 「禁忌の魔術か?」 「そうだ。禁忌の魔術は捨てられた。禁忌の魔術の存在を知っている者は居ても、使える者は今どこにもいないはずだ。」 「確かにそうだな。だが、トレアディスは使っていた。」 「トレアディスには妙な点がいくつかある。お前も気を付けろよ。」 「気を付けるって...何にだ?」 「何かにだ。」 「答えになってねぇじゃねぇか。」 「黙れ。」 シャラゴはそう言うと皆に回復の神術を使った。俺は立てずにそれを見ていた。
オリジナル小説です。 レスポーレン没ネタ供養回その2ができました。 https://scratch.mit.edu/projects/1305740040/