? The Amazing Digital Circus 最終話 「9日目、欠けたひとつ」 サーカスは壊れかけていた。 **ケイン**はいない。 戻らない。最初から“存在しなかったみたいに”。 中央ホール。 **キンガー**が震えながら蝶々を並べる。 「これが……回復プログラム……」 光る蝶々。 全部で——足りない。 ケインを除いても、一つ足りない。 沈黙。 「つまりさ」 壁にもたれていた **ズーブル**が口を開く。 「普通に詰んでるってことだろ」 言葉は消えない。 いつもなら消える“汚い言葉”も、そのまま残る。 「……最悪だな、ほんと」 「じゃあ誰か消えるってことか」 **ジャックス**が軽く言う。 「いい加減にして!!」 **ラガタ**が怒鳴る。 「なんでそんな言い方しかできないの!?」 ジャックスは笑う。 「事実だろ」 「あなたね!!」 ラガタは一歩踏み出す。 「そうやっていつも人を傷つけて——!」 ズーブルが小さく呟く。 「……どっちも余裕ないな」 隅では **ガングル**が仮面を抱えている。 笑顔の仮面と、もう一つ。 「……やだ……」 ポムニは何も言えない。 夜 誰もいない廊下。 ジャックスの腕が崩れる。 ノイズ。 「……は?」 戻る。崩れる。 「……くそ」 誰にも見せない。 遠くでズーブルがそれを見ている。 気づいている。 でも——何も言わない。 「……言っても意味ないか」 小さく吐き捨てる。 翌日 蝶々を配る。 一人分、ない。 「……はい終わり」 ズーブルが言う。 「誰か一人アウト」 ラガタが睨む。 「やめてって言ってるでしょ!!」 ズーブルは肩をすくめる。 「現実逃避しても変わんないって」 その時。 ガングルの仮面が落ちる。 パキン。 「……あ」 笑顔の仮面が割れる。 ノイズ。 体が崩れる。 「やだ……やだ……!」 ポムニが駆け寄る。 「待って!!」 キンガーは動けない。 「ぼ、僕……」 その瞬間。 「……そいつじゃねぇよ」 ジャックス。 腕が完全にバグっている。 「最初から俺だ」 「何言ってんの!!」 ラガタが叫ぶ。 「ふざけないで!!」 ズーブルが目を細める。 「……やっぱりな」 全員が見る。 ジャックスは笑う。 「昨日からこうなんだよ」 ラガタが近づく。 「なんで言わなかったの!?」 「言ったらどうすんだよ」 ズーブルが低く言う。 「……どうにもできねぇよな」 沈黙。 ポムニが蝶々を握る。 ジャックスが言う。 「そいつに使え」 ガングルを指す。 「でも……!」 ラガタが首を振る。 「やだ……」 「……お前さ」 ジャックスが少しだけ優しく言う。 「怒ってる方が、お前っぽいぞ」 ラガタの顔が崩れる。 「……バカ」 ポムニが蝶々を使う。 光。 ガングルが戻る。 同時に—— ジャックスが崩れる。 ズーブルが目をそらす。 「……クソ展開」 ジャックスが笑う。 「だろ?」 体が消えていく。 ラガタが手を伸ばす。 「待って!!」 届かない。 「……じゃあな」 消える。 完全に。 静寂。 ズーブルが壁に頭をぶつける。 「……クソが」 ラガタはその場に崩れる。 「……なんでよ……」 ポムニは立ち尽くす。 キンガーは泣く。 「僕のせいだ……」 誰も否定しない。 サーカスは、まだ続く。 ケインはいない。 でも終わらない。 ズーブルが最後に呟く。 「……次は誰だよ」 画面の端に、小さなノイズ。 まだ、誰かが壊れる可能性は消えていない。