【オリカビ外伝】電脳と発明と祭りの空 ―ハッピー・クエイクを阻止せよ― 第一章:静かなる研究所の騒がしい来客 プププランドの辺境、デジタルなノイズが微かに漂う「サイバー・ヒル」の地下に、メキオンの秘密研究所はあります。 「……よし、これで回路の接続は完了だ。新しい発明! 『超・味覚凝縮エナジー錠剤』の完成だよ!」 メキオンはゴーグルを上げ、青く光る一粒の薬を掲げました。彼にとって発明こそが人生。特に、自分の発明した「美味しい薬」を食べている時が一番の至福です。 そこへ、部屋の隅で宙に浮いていたカービットが電子音を鳴らしました。 「ピポパ……。メキオン、ログを確認。北緯30度地点に異常なエネルギー反応。……あと、その薬、成分の3%にコショウが含まれている可能性を検知」 カービットは常にマイペースです。愛剣「サイバーソード」を背負い、空いた手でホログラムディスプレイを操作しながら、大嫌いなコショウの存在を指摘しました。 「えっ、コショウ!? そんなバカな、隠し味に入れたのがバレたか……」 メキオンがうろたえていると、研究所の重い扉が勢いよく開きました。 「おーい、メキオン! カービット! 遊びに来たよ! まあなんとかなるでしょって思って、地図なしで来たら本当に着いちゃった!」 大きな太鼓のバチを肩に担いで入ってきたのは、お祭り好きのルナフェスタです。彼の周りにはいつも、お囃子のような楽しい空気が流れています。 「ルナフェスタ、君はいつも強引だね。でもちょうどいい、この異常エネルギーの調査に付き合ってくれないか?」 メキオンがそう言いかけた時、さらにもう一人、窓から虹色の光と共に飛び込んできた者がいました。 「みんな、ハッピーハッピーハッピー! 外はすっごくいい天気だよ! 悲しい顔をしてちゃダメだよ!」 ムードメーカーのレインビィです。彼は部屋の中を飛び回り、落ち込んでいた(コショウの件で)メキオンの頭の上に、小さな小さな虹を架けました。 「レインビィまで……。よし、これで4人揃った。僕たちの新しい冒険の始まりだ!」 第二章:動乱のフェスティバル・パーク 4人が向かったのは、最近オープンしたばかりの巨大遊園地「デジ・ラクエン」でした。しかし、そこには楽しげな音楽はなく、代わりに不気味な機械音が響き渡っていました。 「ピポパ……。エリア全体がハッキングされている。管理システムが暴走中」 カービットがサイバーソードを抜くと、剣が青い光を放ち、周囲の電子バリアを切り裂きました。 「ひどい……みんなが怖がってる。こんなの、ハッピーじゃないよ!」 レインビィが空を見上げると、彼の感情に呼応するように、遊園地の上空だけに局地的な雷雲が発生しました。 「あそこに大きなメカがいるね。あれが原因かな? よーし、お祭り開始だ!」 ルナフェスタが太鼓のバチを鳴らし、地面を叩くと、リズムに合わせて衝撃波が走り、襲いかかる警備ロボットたちを次々と弾き飛ばしていきます。 しかし、広場の中央には、メキオンの目を見開かせる光景がありました。 そこにあったのは、巨大な「全自動・笑顔強制マシン」。それは、メキオンがかつて設計図を書き、あきらめたはずのボツ案をさらに高度にしたものでした。 「……僕の発明より、すごい発明だなんて。そんなの、許せない!」 優しいメキオンですが、発明のこととなると負けず嫌いな一面が顔を出します。「ロボ鉄砲」を構え、彼はマシンに向かって走り出しました。 第三章:四人の絆とサイバー・バトル 「待て、メキオン! 突っ込みすぎだ!」 ルナフェスタが叫びますが、マシンの防衛システムが起動し、強力なレーザーが放たれます。 「ピポパ……。物理シールド、展開!」 カービットが瞬時にメキオンの前に割り込み、サイバーソードを回転させてレーザーを反射しました。 「助かったよ、カービット」 「礼には及ばない。……ただ、燃料の消費が激しい。あとで特上のガソリンを奢ってもらう」 敵の猛攻は続きます。マシンの排気口から、鼻を突くような刺激臭のガスが噴射されました。 「うわっ、この匂い……コショウだ! 大嫌いなコショウの成分が入ってる!」 カービットの動きが鈍ります。彼はコショウが苦手なのです。 「大丈夫、僕に任せて! ハッピーハッピーハッピー!」 レインビィが空高く舞い上がると、豪雨を降らせてコショウの粉末を一気に洗い流しました。さらに、雨上がりの太陽が差し込み、巨大な虹の橋が敵の視界を遮ります。 「今だ、メキオン! 君の発明で、あんな偽物を壊しちゃえ!」 ルナフェスタの声に、メキオンは頷きました。 「わかってる! これが僕の……最高の最新作だ! 新しい発明! 対・暴走マシン専用・超電磁クラッシュ弾!」 メキオンが放った一撃は、マシンの動力源に直撃しました。 第四章:そして、いつもの日常へ 爆発と共に、遊園地を覆っていた不気味なノイズが消え去りました。 「ふう、なんとかなったね。まあなんとかなるでしょって言った通りでしょ?」 ルナフェスタは満足げに太鼓を叩きます。 「みんなが無事でよかった。ほら、見て! 本物の虹だよ!」 レインビィが指差す先には、戦いの終わりを告げる綺麗な虹がかかっていました。 カービットは一人、倒れたマシンの残骸からデータを取り出していました。 「ピポパ……。シャットダウン回避。バッテリー残量、5%。危なかった……」 「カービット、そんなことよりこれ食べてよ! 成功を祝して、特製の『美味しい薬(イチゴ味)』だよ!」 メキオンが差し出した薬を、カービットは疑わしそうに見つめます。 「……コショウは?」 「入ってないよ! 誓ってね!」 4人は夕焼けに染まる道を歩き始めました。 発明家、ネット中毒の剣士、お祭り男、そして天気の妖精。 バラバラな彼らですが、次にまた誰かが困っていたら、この4人で駆けつけるに違いありません。 「次はどこへ行こうか?」 「お祭りがある村がいいな!」 「ピポパ……。Wi-Fiの繋がる場所を希望」 「どこへ行っても、きっとハッピーハッピーハッピー! だよ!」 彼らの笑い声は、プププランドの風に乗って、いつまでも響いていきました。
【オリカビ外伝】結晶の輝きと、消えた燃料の謎 第一章:目立ちたがり屋のクリスタル・ショー プププランドの広場は、朝から異様な輝きに包まれていました。 中心に立っているのは、全身から冷気を放つ新顔のオリカビ、リースターです。彼は自慢の「クリスタルソード」を高く掲げ、周囲にある切り株やベンチを次々と美しい結晶に変えていました。 「(見てろよ、この輝き。世界で一番目立っているのはこの僕だ!)」 リースターはあえて口を開きません。無口なクールさを演出しつつ、内心では目立ちたくて仕方がありません。 「わあ、すごい! キラキラしててお祭りみたいだね!」 太鼓のバチを鳴らしながら現れたのはルナフェスタです。 「まあなんとかなるでしょって思って散歩してたけど、こんなに綺麗な景色が見られるなんてさ!」 ルナフェスタの称賛に、リースターは満足げに鼻を鳴らしました。しかし、趣味の結晶化が止まりません。彼はそこら中のものを氷のような結晶に変えていきます。 そこへ、慌てた様子でメキオンが駆け寄ってきました。 「ちょっと待ってよ! 僕の新しい発明、『全自動・燃料精製タンク』まで結晶にしないでくれ! 中身が凍っちゃうだろ!」 メキオンの背後からは、いつものように宙に浮いたカービットが付いてきます。 「ピポパ……。異常低温を検知。リースターの魔力指数、上昇中。……警告、僕の予備燃料タンクが結晶化された場合、活動限界まで残り120秒」 カービットにとっては死活問題です。彼は「シャットダウン」を何よりも嫌います。 「みんな、喧嘩はダメだよ! ハッピーハッピーハッピー!」 空からレインビィが舞い降り、温かい日差しを降らせて場の空気を和ませようとしました。ところが、これが火に油を注いでしまいます。 「(なっ、僕の結晶が溶けるじゃないか! 日差しなんていらない!)」 リースターは自分の芸術(結晶)が溶かされるのを極端に嫌います。彼はクリスタルソードを振り回し、レインビィの太陽を遮るように巨大な氷のカーテンを作り出しました。 第二章:沈みゆく電子の街 その時、地面が激しく揺れました。 「ピポパ……。地下の電子回路に異常発生。何者かがシステムをシャットダウンしようとしている」 カービットの目が赤く明滅しました。 どうやら、リースターが目立とうとして無闇に結晶化させたエネルギーが、地下にあるプププランドの重要インフラ「エレクトロ・コア」に干渉してしまったようです。 「大変だ! このままだとプププランド中の電気が消えて、カービットも動かなくなっちゃう!」 メキオンは「ロボ鉄砲」を構えました。 「ルナフェスタ、レインビィ! 地下のコアまで行くぞ! リースター、君もだ。君の結晶化能力でコアの暴走を抑えるんだ!」 「(僕が主役なら、仕方ないな)」 リースターはクリスタルソードを鞘に収め、5人は地下へと続くゲートに飛び込みました。 第三章:凍てつくコアの決戦 地下深くの「エレクトロ・コア」は、過負荷によって真っ赤に熱を帯びていました。周囲の防衛システムが暴走し、大量の電子ウイルスが実体化して襲いかかってきます。 「ここはボクに任せて! まあなんとかなるでしょ!」 ルナフェスタが太鼓を激しく叩き、音波でウイルスを吹き飛ばします。 「逃がさないよ! ハッピーハッピーハッピー!」 レインビィが「天気」を操り、地下室に局地的な竜巻を発生させて敵をまとめ上げました。 「よし、今だ! 新しい発明、『ウイルス消去弾』、発射!」 メキオンのロボ鉄砲から放たれた光弾が、ウイルスの群れを消滅させます。 しかし、肝心のコアのオーバーヒートが止まりません。 「ピポパ……。温度上昇、限界突破まで残り30秒。……ダメだ、僕のサイバーソードでは物理的な冷却は不可能だ……」 カービットの体が、エネルギー不足でチカチカと点滅し始めます。 「(ふん、結局最後は僕の出番というわけか)」 リースターが一歩前に出ました。 彼は好物の「氷」をひと齧りしてエネルギーを充填すると、クリスタルソードをコアの土台に突き立てました。 「(結晶化せよ、全てを飲み込む輝きで!)」 一瞬にして、真っ赤に燃えていたコアが美しいクリスタルに包まれていきました。熱は吸収され、暴走はピタリと止まりました。 「やった! リースター、最高に目立ってるよ!」 ルナフェスタが叫びます。 第四章:宴のあとのハッピー・タイム 地上に戻った5人を待っていたのは、夕暮れ時の穏やかなプププランドでした。 コアは安定し、カービットの電源も無事に回復しました。 「ピポパ……。システム正常。リースター、感謝する。お礼に、ネットで見つけた『最高級の氷』の場所を教える」 「(……悪くないな)」 リースターは口癖こそありませんが、満足そうに頷きました。 「よーし、解決祝いだ! 屋台を出そう!」 ルナフェスタが準備を始めると、メキオンが困った顔をしました。 「あ、でも屋台のメニューに栗料理はやめてくれよ。リースター、栗が嫌いなんだろ?」 「(……フン、よく知ってるじゃないか)」 リースターは少し照れくさそうに顔を背けました。 「じゃあ、ボクが最高の飴をみんなに配るね! ハッピーハッピーハッピー!」 レインビィが空に七色の虹を架け、その下で5人はいつまでも賑やかに笑い合いました。 結局、その日の主役は間違いなく、誰よりも輝く結晶を作ったリースターだったのでした。