オリゴの主力艦艇が一つ「ソルディ級航宙戦艦」その上面図 前身であるあけぼの型試製航宙艦の艦体形状を踏襲しつつ両舷に補機と増加甲板の役割を持ったバルジを追加、レーダー類は上下左右四方へと広がる宇宙の艦艇ならではの構造となっている。 それでいながら航海艦橋や主砲などの配置によって上下が比較的明確に定められている。これは開発元であるハディエント社の「盾と矛」の装甲配置のみならず、 艦隊行動や地球圏における空間認識において決まった基準姿勢がある方が都合がいいと考えるオリゴ発祥の宇宙空間の航海論「銀河水平論」に基づくものである。 古くからオリゴは宇宙を星の海と例える慣例があり、それは科学の発展とともに一度は科学的に否定されたものではあったが次第に宇宙空間での居住が現実的なものへとなっていく過程で、人間的インフラの構築において無限の三次元空間中でも決められた範囲に限るならば上下の存在は人間の知覚能力を適度に活用するうえで有効に機能するという研究結果が発表された。 真っ先に宇宙での移民に取り掛かっていたオリゴはこれらの結果と軌道エレベーターによる絶大な影響力によってパイオニアとなりこの考えが基礎となっていったからこそ、ヤーキト歴2100年の宇宙船とはロケットのようなものではなく、「船」の姿をしているのである。 因みにオリゴ式の地球圏基準空間水平面は赤道線を水平とするものであり、シュペングリオ・リングを基準にそれより外縁部では太陽系基準水平面へと移行するというものである。
宇宙において上下あるいは左右などは無く、故に宇宙の兵器にはその区別など不要。 そんな言葉は星海を語る戦記物では常套句の概念であった。 だがしかし、人間とは本来上下のある世界で生きていた生物、真に空間を余すことなく活用できるだなどと出来はしない。 それでも、人は宇宙で闘争を始めるのならば、かつてそうしたように自分の土俵に飲み込むのだ。 そうした思想が正しかったのか、事実宇宙での戦闘は思ったよりも四方八方から攻撃するということはなかった。 なにしろ地球圏にはかなり明確に上下があり、進行方向があり、そして人間の思考という制限があった。 船にもいつしか加速力と関係のない引力めいた艦内重力の概念が生まれ、結果として四方へ武装こそすれ船の形でもどうとでもなったのである。