今作は、設定を読んでいないとかなり理解が難しい作品になっています。まずは設定を読むことを強く推奨します。↓それとこの小説はゲームのp2の直後が舞台です。 https://scratch.mit.edu/projects/1311403697/ 1章 泥濘 回廊の窓からは小鳥が囀る中、美しい幽かな残光が差し込んでいる。まるでsans達の勝利を女神様が祝ってくれているかのようだ。 「さて...。こいつをどうする?」 息も切らしながらも、sansは凍てつく固い視線を、床に倒れ、息も絶え絶えになっている一人の少女に向ける。 殺意が液体だとしたら、水溜まりができそうな程の殺意を、少女はこちらに向けてくる。 自分の横にいる骨は、なぜかにこにこしながら、「取り敢えず、回廊の柱に括ろうよ!」と元気いっぱいのような声で言う。こいつはいったいどういう体力をしているんだ?一度でいいから体を見てみたいと思う。...骨だけだろうが。 にこにこと笑っている顔をキープしながら、どこからとなく持ってきたロープで人間を縛る。鼻唄さえ歌っている状態だ。 sansは、ニコニコ顔が縛り終わるのを見計らいながら口を開いた。 「で、お前は誰だ。どこからともなく現れて」 「僕?僕はCellarだよ!お酒好きのね!」 「Cellar...。''蔵''か。それも酒蔵な。」 「大の酒好きだからね~!いいお酒のお店を教えてよ!」 「見知らぬ奴に教えるものか」 そういいながら、sansの脳裡を掠めたのはGrillby’sだった。時間があれば連れて行ってやってもいいかもしれない。 「待て。酒を飲むのは後だ」 Cellarでもない。人間でもない。ましてや自分でもない声が響く。よく通る声だ。声の主のほうを向くと、深くフードを被った小柄な男が立っている。 「お前こそ誰だ」 「待てと言っているだろう。解決編はもうそろそろなんだ。それまで我慢してくれ」 呆れたかのように、彼は額に手を当てながら首を微かに横に振る。夜中だったらストーカーとして通報されそうな風貌だ。その風貌の男は話を続ける。 「何処か話せるところはないのか?すべてを話すにはあまりにもここは殺風景だ。何か書き物ができるところに案内してくれ」 そういいながら両手を広げ、また首を微かに横に振る。sansは微かな不安に襲われながらも返事をする。 「別に構わないが、こいつをどうする?ここに放置していたら逃げてしまうかもしれねえぞ」 その場にいる少女以外の全員が少女に目を向ける。相変わらず殺気溢れた目を向けてくる。なんとも恐ろしい小娘だ。 「そうだな...」 フードの男は思案しているようだ。暫くの沈黙ののち、顔を上げる。眼には閃きの色がある。 「Cellar、お前もsansと一緒に何か書き物をとってきてくれないか?煙草あげるからさ」 「煙草!?!?!?」 Cellarは餌を見つけた蛇のごとく舌舐りをしている。目がぎらぎらと鋭い目になっているのもまた恐ろしい。 「そう。煙草だ。俺がここを見ておく」 「早く頂戴頂戴頂戴!ニコチンが切れてて困ってたんだよ!」 「はいよ」 煙草とライターを渡す。本当に歓喜極まりないというような様子だ。うひょひょひょひょと小さい声で呟いている。気持ち悪い。 「...わかった。人間が少しでも妙な動きがあったら叩きのめしてくれ」 「はいよ。恐らく図書館辺りに置いてあるだろう。謁見の間のほうにある、渡し守にでも声をかければ乗せていってくれるはずだ」 フードの男は指でグッドマークを作る。まぁ、人間と戦っていた時も、強かった。おそらく、大丈夫だろう。 謁見の間の方向に、Cellarを連れて進む。謁見の間の方面には川があり、そこによく渡し守がいる。果たして今日はいるだろうか? 結論から言うと、いた。いつもどおりに、静かに気配を消した状態で船の上に立っている。sansはその姿を認めると、手を振りながら渡し守を呼ぶ。 「おーい!乗せてくれー!」 渡し守も自分の姿を認めると、こちらを見て微笑する。船の入り口の戸を開けてくれる。ぎぃぃ...と軋んだ音が静かに木霊する。 「どこまで?」 静かな声で尋ねる。 「スノーフルの図書館前まで頼む」 目的地を言うと、渡し守は上に掛かっている布を被せる。 「この布は何?」 Cellarがキョロキョロと布を見ながら尋ねる。 「耐熱用の布だ。コアが爆発してホットランド全体が地獄のような暑さになってな。スノーフルへ行く途中に通るから掛けてるんだ」 「へぇ~。...大変だねぇ」 それっきり、彼は黙ってしまった。渡し守も押し黙っている。船に揺られていたからか、徐々にうとうととしてくる。一定のリズムが自分を眠りへと誘う。さっきの戦闘で疲れているのだろう。果たして寝ていいのか?Cellarが何かするかもしれないぞ...ともう一人の自分が囁く。それでも、やはり睡魔には勝てない。徐々に視界の端が黒色に暈けてくる。 「おやすみ」 誰かが耳元で囁いた。 「おはよう」 Cellarが自分を覗き込みながら言う。 「...どれくらい眠っていた?」 「うーん...結構短かったよ。大体25分ちょっと?」 「...そうか。ありがとう」 瞬きを繰り返すと、徐々に視界が明るくなってくる。眩しい。白。数多もの白が覆いつくしている。暫くしてから、雪だと分かった。 そうだ。スノーフルに来たのだ。 「で、運べる書き物ってどこにあるの~?」 「図書館にあるボードを持っていこう。そこまででかくないはずだ」 Cellarを後ろに連れ、図書館の扉を開ける。中は閑散としていて、何処に立っても静かだ。入り口の右にある机の近くにホワイトボードがある。これならいいだろう。折り畳みできる方式のようだ。 「これにしよう。その前に司書に断りを入れるがな」 「は~い」 司書を見つけ、声をかける。声色を重くするように意識する。 「このボードを使いたいんだが、使ってもいいか?後で返す」 「あ、わかりました。ちゃんと返してくださいね」 思った以上に快く了承してくれた。キラキラした目を向けてくる。日頃からクールな性格を装っていたおかげだろうか。もしそうなら心掛けておいてよかった。やはりこういう時に便利だ。 「Cellar、いくぞ」 出るときに、司書はCellarの姿を認めたのか、一瞬顔を顰める。やはり見かけない顔だったから気になったのだろう。 渡し守は、スノーフルの降り場に変わらず佇んでいる。ボードは折り畳めるとは言え、それなりに大きい。入るかと心配だったものの、特に問題もなく入った。渡し守は行き場所もわかっているらしく、何も言わずに漕ぎ始める。今回もCellarは何も言わず、沈黙が掛けられた布の中を染める。今回は眠くならなかった。 謁見の間の近くに船が着く。渡し守に行きと帰り、そして若干のチップを船賃として渡す。渡し守は微笑みながら、「ありがとう」と、自分に聞こえるかぐらいの小さな声で感謝を述べる。 「安心してくれ。おそらくすぐ使うことになると思う」 渡し守は微笑みを継続しながら小さく頷いた。 2章 邂逅 「おっ着いたか。持ってきてくれたか?」 フードの男はにやにやしながらこっちに声をかけてくる。 「あぁ。持ってきたよ。ちゃんと持ち運びしやすい形の、折り畳み型をな」 「ナイスだな」 Cellarはもう既にホワイトボードを展開している。なんと仕事が早いことか。 「人間は大丈夫だったか?」 「問題なしだな。不審な動きもなかったし」 人間のほうに目を向ける。殺気溢れる目を向けてくるのは変わらないが、どこか脱力気味だ。Cellarも気になったのか自分と同じように作業をしながら見つめている。ただ、その瞳の中には微かな驚きが入っているように見えた。 「さて、じゃぁ始めよう。物語の真相を明かす、云わば解決編だ」 小説に出てくる探偵のような奇妙な言い回しだ。 「...気取ってるのか?」 「別に気取っていてもいいだろ!ちょっとやってみたかったんだよ...」 思わず声に出ていたんだろう。フード男の、ある一種の咆哮のような声が回廊によく響く。ちょっとむすっとしている。意外な一面だ。 「まぁいい。さて、解決編だから、情報は出揃わないといけない。出していこう」 そういいながら、ホワイトボードに綺麗で整った字で文字を書いていく。 「急に言われても理解できない部分があるかもしれない。それは許してくれ。まずは一つ目だ。一つ目は、このスノーフルの他に、何個かの世界があること」 暫くの沈黙の後、「は?」という自分の声が木霊する。何個かの世界?何を言っている、この骨は? 「混乱するのも無理はない。いくつかの根拠があるんだ。それを話させてくれ。...なんとなくCellarは察しているようだがな。」 思わずCellarを見る。彼はどこか気まずそうな気配を、背後に忍ばせている。 「俺はな、Cellar。お前がそこにいる人間と、何かしらの''関係''を持っていると考えている。どうだ?」 沈黙が続く。 「お前は俺らとRoseの戦闘の際に、一瞬驚いた表情をしていたよな。今も、お前の瞳には驚きが残っている。お前はRoseを知っているんじゃないのか?」 「...気付かれちゃってたかぁ。そうだよ。確かに彼女のことを僕は知っている」 観念したかのように、諦めるかのように語る。つじつまを合わせているようにに見える。点と点と結ぶように。 「僕は彼女と面識があるんだ。数か月前に、人間との戦争があったから。それも大きな、所謂大戦争がね。僕らモンスターは、その戦争のことを3年戦争といっている。その戦争時に彼女に出会った。...お互い敵兵として。そして実際に戦った。とっても強かったよ。14歳の少女とは思えない強さだった。ナイフの切りつけは鋭く、所作の一つ一つが冷静で、殺意が込められている」 少女を見ながら、Cellarは細々と話し始める。少女も諦めてたように見えた。Cellarと少女。お互いを見ながら、話は進む。 「僕の頭に何個か傷があるでしょ?これ、全部その子につけられた傷なんだ。目も、頭の罅も、靄も。目はナイフで切りつけられて、罅は足蹴りで割られた。靄もその傷が悪化してできちゃったんだ。腕も切り落とされたしね。すっごい痛かったんだよ?ねぇ?Rose?」 少女の目が少し見開かれる。Rose?話の流れ的に、彼女の名前だろうか。sansは彼女の顔をよく見る。髪は長く、後ろで結んでいる。縄で柱に縛られてはいるものの、それでもわかるすらりとした姿だ。シャープな顎をしており、口は定規で引いたかの如く真一文字になっている。鼻筋も美しく、瞳は澱みのない、澄み渡るような濃い緋色に染まっている。おそらく名前はここからだろう。色白で、その耳も陶芸品のように艶やかだ。...戦っているときも思ったが、美しい少女だ。存在自体が陶芸品の様に品がある。軍隊に所属して、モンスターを殺すために育てられなかったら、別の人生もあっただろう。 「あれから大体1年だね。君も15歳か」 「...やっぱりお前は彼女...いや、Roseとは顔見知りだったか。敵兵同士として」 フードの男は納得したかのようにCellarに語り掛ける。 「それともう一つあるね。僕はこの世界に馴染みがない。初めて見る。それはおそらくそこのフード男も同じだ」 Cellarはフードの男を見つめる。吸い込まれそうな、魅惑的な目で。 「いや、それは違うと思うぞ。Cellar。彼はこの地がどのようなところかを知っているように見える」 「そうなの?」 Cellarは怪訝そうな目をこちらに向ける。 「ああ。さっき、ホワイトボードを取りに行ったときに、掛けられた言葉を覚えているか?」 「え...えっと...」 「''恐らく図書館辺りに置いてあるだろう。謁見の間のほうにある、渡し守にでも声をかければ乗せていってくれるはずだ''だな。」 フードの男が表情も変えずに教える。まるで自分を試しているかのようだ。
「こいつは、渡し守の場所を知っている。それにホワイトボードの場所もな。俺は、あの男に街中で今まで見かけたは一度もなかったのに。街の構造を知っている筈がないんだ。...単純に俺が見かけたことがないだけかもしれないが」 「いや、あっている。お前の予測は。俺はこの地を知っている」 フードの男が自分の言葉を遮る。 「...正直、もう少し後に話したかったんだがな。しょうがない。話すとしよう。矜羯羅がるかもしれないがな」 フードの男は深呼吸をする。目を閉じ。静かに。口を開く。 「俺の名前はSans。お前の''過去''の存在だ。過去は、時間という概念ではない。何年前とか、そういう''存在''ではない。過去と現在は、分離して、独立している。別々の存在だ。現にこうやって、お前と俺。二人いるわけだしな」 衝撃。というわけではなかった。なんとなく、薄々気づいていた。話しているときの気配や、癖。どこかで見たことがあると感じてきた。これが違和感の正体なのか。 Cellarのほうを見ると目を大きく見開き、口がポカーンと開いている。開いた口が塞がらないの具現化のようだ。 「...思った以上に驚かないな。俺はお前と俺の外見の違いに驚いているんだが...。ここまでとは思ってなかったぞ」 Cellarは相変わらずの口の開きようの状態だ。思わずsansは自分の服装とフードの男の服装を比べる。服装はもちろん、圧倒的に背丈が違う。背丈だけならフードの男とCellarが同じくらいだ。 「背、高いね。羨ましいよ」 Cellarが目をキラキラさせながらこっちを見る。 「...一ついいか?同じ名前のやつが二人いるんだ。...この名前じゃ呼びにくいだろう。何か呼びやすい名前を付けてくれ」 「急に言われてもな...。Cellar、何かあるか?」 「えぇー...面倒くさぁい」 「面倒くさい言うな」 「そうだなぁ...。''Bleak''なんてどう?」 「荒涼としたか。...ひどくない?」 「別にいいでしょ。寂しい雰囲気を纏ってるんだから」 未だにBleakは不満げにCellarを見ている。これはさすがに酷いと思う。失礼だ。失礼だと思うが、これ以外に合う呼び名というものを考えられない。 「...わかった。名前はもういい。仕切り直しだ。」 Bleakは持っていたペンのキャップを外し、ホワイトボードへ歩みを進める。そしてホワイトボードの目の前で止まり、真ん中に少し大きな円を描き、その周りを囲むように幾つかの円を描く。真ん中の円にはS、周りの円のうちの一つにはC、もう一つの円にはBと書く。他の円には何も書いていない。端正な字だ。 「真ん中の円が今俺たちがいる世界。Sと書いているところだな。つまりSansがいた世界とする。CはCellarが、Bは俺がいた元々いた世界だ。今俺らはSの円に集まっている状態だ。他の円は他世界ということにしよう」 「まず疑問があるんだがいいか?」 「いいぞ」 ゆっくりと腰を下ろす。そのあとにじっと二人を見つめる。 「お前らはなぜこの世界にいる。Bleakの話しが確かなら、お前らは、えっと...。''他世界''から来たんだろ?」 「そうだ」 「お前らはどうやってきたんだ?」 Bleakがペンを翫ぶ。 「それに関しては僕が話すよ」 Cellarは、ようやく開いた口を元に戻せたようだ。 「頼む」 「...僕には弟がいるんだ。背が高くて、とても朗らかで、優しくて、冷静な奴だった。その弟が、とある''噂''を話してくれた時があったんだ。大戦争の...大体3年前くらいかな?」 「ほう。噂か。どんな噂だったんだ?」 「''時空遷移''の話だったね。楕円状の、大理石でできた巨大な遷移装置。硝子のような透明感で溢れてて、見るものを魅了して、蠱惑して、入るものの''祈り''を叶えるっていう言い伝え」 「へぇ。それで?」 「僕はそれに深く魅了されたんだ。深海の様に、深く。僕はその噂を聞いて以来、その蠱惑的な大理石を考えない夜はなかったよ。そして、遂にその真相を確かめる機会が来たんだ」 「...戦争か?」 Bleakはさっき書いた円の隣に、Cellarの言った遷移装置のイメージ図を描いている。Cellarの眼には空虚しかない。 「そう。僕らは人間との大戦争を経験している。3年間続いたから、3年戦争って言われてるんだ。正直、人間との開戦の話を聞いたとき、これは僥倖だと思ったよ。人間の里にその装置はある。少なくとも、地下世界にあるなんて話は聞いたことがない。でも人間たちがいるせいで行けない。僕らは争っているからね。だったら、''全員殺せばいい''。そういう思考で、僕は戦争に参戦した」 Cellarはまるで懐かしいかのように目を細め、少し上の方向に視線を向けている。 「Roseとも、その時に出会った。僕は大勢の人間を殺した。300人は超えるんじゃないかな...。恐らくRoseもかなりの数を殺しているはずだ。でも、それだけモンスター達が奮戦しても、戦争には勝てなかった」 「結局はモンスター達は負けたんだな?戦争に」 Bleakは確認するようにCellarに尋ねる。Cellarは口を開き、「そうだね」と同意した。 「負けたんだ。僕らは。そして、その装置も見つけることは叶わなかった。僕らは地下に追いやられ、出口は人間による厳重な警備が行われた。地下の王である、Asgoreの圧政の原因もあって、僕らモンスターは日に日に貧しくなっていった」 気づいたらBleakが描いていた大理石の装置は、既に描き終わっているようだった。字もそうだが、絵も上手い。 「でも、気付いたら、人間たちはいつの間にか消えていた。モンスター達は口々に、『飢餓になって互いを殺し合った』と噂するようになった。僕もそう思ったよ。そして、人間ってのはなんとも愚かなものだなぁとも思った。...その人間に負けたのが、僕らモンスターなんだけどさ」 誰もが黙っている。明るくポジティヴなCellarの見せる、深淵で染まっている心の奥底を垣間見た気がしたからだ。 「圧政と聞いて、恐らく君たちも同じ想像をするんだろうね。そう。圧政が始まった数か月後には、反乱が起きた。僕はその混乱に乗じて、もう一度地上に出ようと計画した。モンスター達は怒りに燃え、憤り、屠った。モンスターの持つ槍が、モンスターの柔らかい肌を穿つ。まるで人間みたいでしょ?互いを殺し合ってさ。僕もそのうちの一人だよ。地上に出る。そのためだけに、関門にいたモンスター二人をこの手で殺した。罪悪感なんてものはなかっね。もうその時には。あるのは、人間と同じになってしまったという気持ちだけ。戦争で何百人も殺しているんだ。今更あるもんかね?」 いつの間にかCellarに浮かんでいた笑みは消え失せ、背後には陰鬱な気配が漂っている。 「でも、地上に出るとやっぱり喜びが勝った。もう一度、装置を探すことができたから。前の戦争の際に、人間の街に実際に出向いて装置の有無を確認したりしていたから、残りのどの街に装置があるのかどうかは見当がついてたんだ。実際、その候補のうちの街の一つにあったしね」 Cellarはいったん呼吸を整える。 「噂に聞いた通り、立派な装置だった。自分の身長の7倍は悠にあるんじゃないかと思う程の巨大さだ。保管装置も恐らく、まだ人間のいる時には厳重に警備されていたんだろうけど、そんなのは関係ない。骨で簡単に突き破って入れたよ。装置は、本当に大きい大理石でできていて、蠱惑的で、魅惑的で、とても魅了された。そこに静かに佇んでいて、冷気を纏っているようだった。何時の間にか魅入っていたんだろうね。自分でも気づかないうちに、ゆっくりと装置に歩を進めてた。装置に入って、気づいたらこの世界に降り立っていた。そして、君たちに出会った。これが事の顛末」 誰も話を遮らない。続きを待っている。 「僕は疑問がある。人間は絶滅したはずだ。お互いを殺し合って。なのに、なぜここにRoseがいるの?死んだはずじゃないの?」 「それはRoseに話してもらおう。な?」 ようやくBleakは重い口を開く。 「...守秘義務だ」 自分を含む3人全員がRoseに目を向ける。RoseはBleakを睨みながらぽつりという。 「正直俺らも、手荒な真似はしたくない。俺もこいつらも、15歳の少女を甚振って喜ぶなんて性癖は持ってない」 沈黙が続く。1分でもあるかもしれないし、10分だったかもしれない。 「少しばかり人助けだと思って教えてくれないか?」 沈黙を守ろうとするが、遂に耐えかねたのかRoseは口を開く。 「はぁ...。もう君たちに教えるしか選択肢はなさそうだね。どうせ逆らったって殺される運命でしょ。少しばかり時間つぶしをさせてよ」 そういいながら、彼女は徐に語りだした。 次章→(7/11までお待ちを...) sprite by @shiitake_misoshiruさん