【手記断片 No.01】 今日は右腕の再生が遅かった。 糸の繋がりがまた弱くなっている。 指先から崩れる感覚には慣れた。 慣れたが、痛みだけは消えない。 ……いや。 消えないようにできているのかもしれない。 罰として。 【手記断片 No.04】 村を救った。 感謝された。 笑われた。 子供が「勇者様だ」と言った。 吐き気がした。 あの言葉は、まだ俺を刺す。 【手記断片 No.09】 また夢を見た。 炎。 泣き声。 血の臭い。 そして、 俺を信じていた目。 ……思い出せない方が楽だった。 【手記断片 No.12】 聖剣がまた欠けた。 もう輝きはない。 ただの鉄屑だ。 それでも手放せない。 これは武器じゃない。 墓だ。 【手記断片 No.18】 輪廻の糸を切った時の感触を、 まだ覚えている。 柔らかかった。 まるで、 誰かの息を止めるみたいだった。 ……俺は一生忘れない。 【手記断片 No.22】 「お前は世界を救った」 そう言われた。 違う。 世界を生かすために、 仲間を殺しただけだ。 【手記断片 No.31】 最近、自分の顔を思い出せない。 鏡には映る。 だが、どこか他人に見える。 輪郭が薄い。 俺はまだ“俺”なのか? 【手記断片 No.37】 また死んだ。 胸を貫かれた。 痛み。 暗転。 静寂。 ……数秒後、 糸が俺を引き戻した。 最悪だった。 【最後のページ】 もしこの記録を読んでいる者がいるなら、 一つだけ覚えておけ。 勇者など、 なるものじゃない。 誰かを救うということは、 誰かを切り捨てることだ。 そして―― 切り捨てた者の顔は、 死ぬまで消えない。 いや。 死んでも消えなかった。
まだキャラのストックが居るので出すのは先になりそうですけどね