出撃当日 俺たちは出撃当日まで訓練し、ついにその日を迎えた。 「今日が出撃の日か。」 「作戦通り、セドリックを囮にして...」 レナがそう言った瞬間、セドリックが驚いた。 「えっ!?私囮なんですか?」 「そうだが...何か問題でもあるのか?」 「いやまぁ、私が戦闘で役に立たないことは自分でも分かっていますが、本当に囮にされるんですか?」 セドリックの言葉に全員が頷いた。 「セドリック。」 「な、何ですか?」 「言い残したいことはあるか?」 「死ぬ前提じゃないですか!」 「ハハハッ。」 「笑い事じゃありませんよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」 俺たちは絶望するセドリックを横に見ながら、出撃の準備をした。...食料は現地調達だな。持って行っても腐るだろうし。鍛冶屋に修理を依頼した鎧を取りに行ったら準備万端だな。 鍛冶屋に行くと、鍛冶師たちが大量の鎧の修復をしていた。 「おっ、兄ちゃん来たか。修理は終わってるよ。」 「ありがとな。いくらだ?」 「そうだなぁ、兄ちゃんはよく来てくれるから、少し安くしとくよ。足の装甲の修復で三ネグス、腕の装甲の修理で三ネグス、布部分の修理で二ネグス、合計で八ネグス。」 「分かった。...良いのか?」 「何がだい?」 「いや、そんな安くして。普段の半額だろ?」 「そうだねぇ。でも、おっちゃんは金が欲しいんじゃなくて、お客さんの声が欲しい。金が欲しいなら、鍛冶屋なんてやってないよ。鍛冶は楽しいし、完成した時の達成感もある。おっちゃんにぴったりの仕事さぁ。」 「鍛冶屋は温かい人が多いな。」 「そりゃぁ、鉄を溶かしてるからなぁ!ガハハハハハ!」 まぁ、この鍛冶屋にもいるが、極稀に口が悪い鍛冶師も居るけどな...。そんなことを考えているとその本人が出てきた。 「あぁ?またお前か。仕事の邪魔だ。とっとと帰れ。」 「分かった。」 俺はそう言って兵舎に帰った。帰っている途中後ろから声が聞こえてきた。 「全く、すーぐ鎧を壊しおって。まぁ、あの安い命に儂の大切な生活を支えられてるのは事実だがのう。」 鎧を大事にして欲しいのか、すぐに壊して金を払いに来て欲しいのかが分からない...。 会議室の前まで来ると、扉の前にトレアディスが立っていた。入りたいのならノックをすれば良いのに、なんで突っ立ってんだ? 「どうしたんだ?トレアディス。」 「あぁ、レジェール君。そろそろ集合の時間だから呼びに来たんです。」 「ならノックして言えよ。」 「時間になるのを待っていたんですよ。」 「絶対盗み聞き...」 「お互い死なないように頑張りましょうね。」 この反応の仕方は盗み聞きしてたな。 「お前は何がしたいんだ?」 「というと?」 「俺たちの仲間になったり、敵になったり、盗み聞きしたり...」 「盗み聞きはしてません。」 「して...」 「してません。分かりましたね?私は盗み聞きはしていません。...私のしたいことを強いて言うなら、自分が何をしたいか探すことですかね。」 「は?」 端から言う気は無さそうだな。まぁ、いつかまた訊くか。今回は仲間っぽいし協力するか。俺は皆に集合するように言って、集合場所に行った。集合場所に着くと、第四司令官が何か看板を立てていた。その看板にはこう書いてあった。 その一、しっかりしろ。 その二、何とかしろ。 その三、どうにかしろ その四、遅れた仲間は見捨てろ。 その五、死ぬ気で戦え。 その六、死んでも良いから戦え。 その七、生きて帰って来た者に報酬は無い。 ...意味が分からん。なぜ生きて帰ってきてはいけないんだ。 「第一司令官...これは何だ?」 「私にも分からない。第四司令官が勝手に作ったものだが...」 「一から三は人任せ過ぎないですか?」 「第四司令官だから、人任せに決まっているだろう。」 第一司令官はそう言うと、咳払いをしてから俺たちに出撃先についての説明をした。 「お前たちが今から行くのは、冷たい霧に呑み込まれたソエイル城だ。そこには焼けた騎士の姿をしている灰の王が居るという情報がある。その灰の王を倒してくれ。ソエイル城にはおそらくまだ生き残っている兵士や、騎士、城主の兵が居ると思う。できれば救出してきてくれ。もし救出してきたら私から報酬を多く出そう。」 「本当か!?」 「あぁ。それに、助けたら共に戦ってくれるだろうしな。彼らも灰の王となった城主を、楽にしてやりたいだろう。」 「灰の王は城主なのか?」 「あぁ。灰の王は英雄や王などの力のある者がなるからな。...私は仕事がある。絶対生きて帰って来い。言い忘れていたが、ソエイル城はアフトロネ岬から行くのが近い。行く時は転送の火を使うと良い。」 「分かった。」 第一司令官はそう言うと、司令官の会議室に行った。やはり第一司令官が司令官の中で一番まともだ。他の司令官は給料を払わないことがあるからな...。そうこうしている内に、出撃の時間になった。 「レジェール、時間だ。出撃先に行くぞ。」 「あぁ。」 俺たちは転送の火を使い、ソエイル城に向かった。アフトロネ岬にはまだ血生臭い匂いが漂っていた。
オリジナル小説です。 曲は昔作った曲を使っています。 誤字あったら教えてね