薄暗い蛍光灯が、ジジ……と不規則に鳴っていた。黄色い壁紙は湿って波打ち、鼻の奥には古いカーペットの匂いがこびりつく。 「あれ……ここどこだ?」 声は妙に遠くまで響いた。 返事はない。 ポケットを探る。スマホは圏外。時計は止まっている。 さっきまで何をしていたのか思い出そうとしても、記憶が霧みたいにぼやけていた。 目の前には同じ景色の廊下。 右を見ても、左を見ても、黄色い壁、曲がり角、蛍光灯。 その時―― ……ペチャ。 遠くで、何かが濡れた床を踏む音がした。 しかも少しずつ近づいている。 「とりあえずスマホの電波はないか・・・」 画面の右上には、無情にも「圏外」の文字。 Wi-Fiも拾えない。バッテリーは73%。 「マジかよ……」 周囲を見渡しても、同じ景色が延々と続いている。 静かすぎる。自分の呼吸音だけがやけに大きく聞こえた。 その時、奥の通路で蛍光灯が一瞬だけチカッと明滅した。 「なんか地形が変化しているような感じが・・・」 さっき通ったはずの角を曲がる。 ……だが、見覚えのある染みが消えていた。 「え?」 代わりに、壁には黒いカビのような模様が広がっている。 床も少し湿っていた。 確かに数分前まで、こんな場所じゃなかった。 振り返る。 すると、後ろにあったはずの通路が行き止まりになっていた。 「は……?」 心臓がドクンと跳ねる。 まるでこの空間そのものが、生き物みたいに形を変えているようだった。 主人公は思わず走り出した。 「なんだよここは!!!」 足音が廊下中に響く。 曲がっても、曲がっても、同じ黄色い壁。 蛍光灯の音が頭にまとわりつく。 バンッ! 肩が壁にぶつかる。 息が荒くなる。 「出口! 出口はどこだよ……!」 その瞬間。 ――ブツッ。 近くの蛍光灯が消えた。 暗くなった通路の奥に、何か“人影のようなもの”が立っていた。 「なんだあいつ・・・エイリアン?」 薄暗い通路の奥。 その“何か”は、ゆっくりと首を傾けた。 人の形には見える。 だが、腕が異様に長い。 蛍光灯の点滅に合わせて、姿が途切れるみたいに揺れていた。 ピチョン。 天井から落ちた水滴の音だけが響く。 主人公は後ずさる。 するとソレも、一歩だけ前に出た。 ――ギギギ。 骨が軋むような音が鳴る。 次の瞬間、通路の電気が完全に消えた。「なんだよ!あんな気色悪い生物!!!」 主人公は半狂乱になりながら走る。 肺が焼けるみたいに痛い。 それでも止まれない。 後ろからは、 ――ギ…ギギ……。 何かを引きずるような音。 「振り返ったら死ぬ!!!!!!!」 本能がそう叫んでいた。 角を曲がる。 また曲がる。 だが景色は変わらない。 黄色い壁。湿ったカーペット。終わらない廊下。 すると前方に、ぽつんと赤い非常灯が見えた。 唯一、今までと違う色だった。 「はあっはあっ…はやくって……あな――」 足がもつれた。 視界の端で、赤い非常灯がぐにゃりと歪む。 床があるはずの場所が、ほんの少しだけ沈んでいた。 「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 次の瞬間―― ガクンッ! 足元の“何か”が崩れ落ちる。 主人公の身体は、そのまま暗闇の中へ吸い込まれた。 落下する。 落下する。 空気が耳を裂くように鳴る。 そして最後に見えたのは、上の廊下からこちらを覗き込む、あの“長い影”だった。
これは活動休止する前の最後の作品です まあ全くサンズに関係ありませんけどね 5/24なんかこれ伸びてるんだけど おかしいいいなあああああああなぜこれが・・・・・・・・?