ー操作方法ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 《挿絵を進める》の表示が出たら挿絵を進めてください ※音量は初期設定で50になっています。 ※今回はBGMが流れるシーンはありません。 右側をクリック / →キー / Dキー:挿絵を進める 左側をクリック / ←キー / Aキー:挿絵を戻す Sキー / ↓キー:音量調整 ー前書きーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー どうも、キャズルです 『あれ、アニメはどうした』って思ってる頃だと思いますが この度キャズルは勝手ながら、『砂漠放浪記』を小説として投稿することに決めました 理由は単純で、制作スピードが遅すぎるからです このペースだと、完結が10年後とかになっちゃいます() コラシの制作の要望が多かったので、コラシの制作を決定しました。近日公開予定です。 今回は前編と後編分割して投稿しています それではどうぞ――― ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 砂漠放浪記 壱話 『理想郷を探して』 前編 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 《挿絵を進める》 「……理想郷?」 竹本が首を傾げる。 おっちゃんはニヤつきながら、酒瓶を軽く揺らした。 「いくら学がないお前でも、『世界三大宗教』くらいは分かるだろ?」 「あぁ、えっと……グラシャリル教、プリムラ、リコリス教。だよな?」 「違うよ」 最知が割って入る。 「プリムラはグラシャリル教の一つの宗派なだけで主教じゃない」 「最後はルドルフィ教だね」 「しっかりしてくれよ。んで、そのリコリス教の神話の第一章くらいはわかるよな?」 おっちゃんがケラケラ笑った。 竹本は自慢げに胸に手を当て答えた。 「おいおい舐めてもらっちゃあ困るぜ?」 「この無宗教で常識しらずな俺にわからない事はない!」 最知は竹本の自信に呆れたように笑った。 「わからないことしかないでしょ」 竹本は最知を睨む。 「あ?」 おっちゃんは二人を見て苦笑する。 「おいおい喧嘩すんなってwうちにもプリムラ神話くらい置いてるぜ?」 おっちゃんはカウンターの下にある本棚から一冊の本を取り出した。 《挿絵を進める》 色褪せた表紙に、少し埃をかぶっている。 明らかに古い本だ。だが、その本からは何か神秘的なものを感じる。 暑苦しくて酒臭い酒場にはあまり似合わない本だ。 「なんだあるのかよ」 「じゃあ最初から出せっつーの」 竹本は笑いながらおっちゃんの肩を叩く。 おっちゃんは素早く竹本の手を払い除けると、静かに神話のページをめくった。 「ここを見てくれ」 おっちゃんが指差したページには、大きな城壁に囲まれた城下町が描かれていた。 「バクの言ってた理想郷は、ここの、」 「『バクが寄り付かない理想郷、リコリス』の事を言ってると思うんだよ」 最知はきょとんした表情を浮かべる。 「それまたどうして?」 おっちゃんはニヤつきながら、顔を少し近づける。 「あいつらが寄り付けねぇ場所なんて、何かあるに決まってる」 「因縁の一つや二つ、あっても不思議じゃねぇだろ?」 「...まぁ、確かに」 「...それより」 最知は腕を組みながら寝てる竹本を指差す。 「おい何寝てんだ」 「んぇ?」 竹本は目を開ける。 おっちゃんは呆れたようにため息をついた。 「お前話聞いてたか?」 竹本は寝ぼけながら答える。 「んーと、プリンに砂糖かけて炙るんだろ?」 最知は困惑した顔で竹本を見る。 「...どんな夢見てたの?」 「話一つも聞いてないじゃねぇか!」 おっちゃんの怒鳴り声が酒場に響いた。 酒瓶の中の酒も共鳴するみたいに少し震える。 「え?」 竹本は目を丸くした。 最知はそんな様子を見て、堪えきれずに笑いながらおっちゃんに言う。 「けど、リコリス神話なんてただの創作でしょ?」 「地図のどこにもそんなとこないよ?」 おっちゃんは鼻で笑う。 「おいおい」 「バクと戦いながら作ったツギハギの地図なんて、だいたい当てにならねぇよ」 「それに西の方なんて、もう12年前から封鎖されてるんだぞ?」 「今はもう、行ってみないと何があるかわからない」 「それに...」 おっちゃんは黙る。 酒場に少しだけ静かな空気が流れる。 おっちゃんは古びた神話に視線を落とした。 「これがただの作り話とも思えねぇんだ」 最知が口を開く。 「...どういう事?」 おっちゃんは神話のページをめくる。 「ここを見てくれ」 《挿絵を進める》 おっちゃんはバクの食事と排泄についての絵を指差す。 「うげっ」 竹本は嫌そうな顔をする。 対して最知は、完全に入り込んでいる。 「バクは食べた後、排便の代わりに口から砂を吐く」 最知は首を傾げる。 「つまり、バクが少ない場所ほど、砂漠化していないって事?」 「実際にな、現実でもバクがあんま出ねぇ都市部じゃ、砂漠化が遅いって研究結果が出てるんだ」 「ほんと?」 「そんな事、聞いた事も無いけど」 最知が疑うように眉をひそめる。 おっちゃんは鼻で笑い、自慢げに答える。 「俺の顔の広さ舐めんなよ?」 「知っての通り俺は元学者だ」 「その頃のツテで、今でも何人か情報くれるやつがいるんだよ」 「学者がこんな品性の欠片もないバーテンダーになるなんて、人生わかんないよなー」 竹本は上の空で呟いた。 おっちゃんは少し苛ついたが、ぐっと堪える。 「このご時世、学問より酒の方が稼げるんだよ」 皮肉っぽく、おっちゃんはそう吐き捨てた。 「やめちゃってよかったの?」 最知が少し不思議そうに尋ねる。 おっちゃんは笑った。 「まぁな」 「正直、稼げりゃいいんだよ、稼げりゃ」 「元学者から聞きたくない言葉上位いただきましたッ」 竹本はケラケラ笑う。 最知が表情を引き締めた。 「そろそろ本題戻らない?」 「ちょっと気になる事があるんだけど」 「あぁ、分かった。何が?」 最知は神話へ視線を落としたまま、疑問をぶつける。 「砂を吐くって話だよ」 「それ、別に最近分かった事じゃないんじゃない?」 おっちゃんの表情も少し引き締まる。 「いや、これはつい最近分かった事だ」 「この本が書かれた頃に、分かってるはずがねぇ」 「そっか……」 最知は小さく頷く。 そして、さらに疑問を投げかけた。 「じゃあ、それをたまたま目撃したとか?」 「バクが現れて10年も経つし、ありえなくはなくない?」 「あぁ、そうかもしれねぇ。」 おっちゃんはあっさり認めた。 「けどな」 おっちゃんは神話書を軽く叩く。 「この神話には、これまで実際に起きた出来事がいくつも書かれてるんだ」 「……というと?」 最知は静かに聞き返す。 「これはプリムラ教ができた頃の結構古めの神話なんだがな」 おっちゃんは神話書へ視線を落としたまま続けた。 「ここ最近のバクの急増殖や、マイルドっていう大手の石油掘削施設がバクの襲撃で潰れちまった事」 「大規模の砂嵐が八日も続いて、道路が隠れちまって交通網が止まる話まで、まるで予言みてぇに書かれてるんだ」 《挿絵を進める》 竹本は苦い顔をする。 「あの時はついに世界の終わりかって思ったぜ....」 最知の表情が、竹本以上に険しくなる。 「……いや……待って……」 最知は神話書へ目を落としたまま、低い声で呟く。 「リコリス神話の最後って、確か……」 おっちゃんは静かに神話の一節を読み上げる。 「初祖のバク――グラシヴォルが力を蓄えた時」 「都心は禍々しい光に包まれ、都市部は破壊される」 「そして、その後に続くバクの総襲撃によって――」 最知はそこで言葉を切った。 酒場に、重い沈黙が落ちる。 「……人類は滅びる」 竹本は目を丸くして言う。 「.....え」 「それって結構やばくね」 おっちゃんは酒瓶を軽く揺らしながら言った。 「あぁ、やばいな」 「けど、予言書みてぇだからって、未来が決まってるわけじゃねぇ」 最知は完全に話へ引き込まれていた。 「……どういうこと?」 おっちゃんは淡々と問に答える。 「たとえば1109年。」 「首都に大量のバクが押し寄せて、街を壊滅させるって話がある」 「実際に押し寄せはした。」 「だがその時、たまたまハンター大会で大勢が集まっててな。」 「70人ほどで食い止められたんだ」 おっちゃんは空になった酒瓶をカウンターへ置く。 「だから未来は確定してるってわけじゃない」 「.....なぁ」 竹本が口を開く。 「じゃあさ」 「そのグラシヴォルってやつをぶっ倒せばいいんだろ」 おっちゃんは少し困惑したように眉をひそめた。 「んー?」 「色々おかしいが、まぁ、そうなるな」 竹本は腕を組みながら考え込む。 「つまり、その神話が本当だったとしても」 「止める方法はあるんだろ?」 「なら!」 竹本はカウンターを叩き、立ち上がる。 《挿絵を進める》 「俺らでグラシヴォルぶっ倒そうぜ!」 おっちゃんと最知はぽかんとしながら声を揃える。 「......は?」 最知は苦笑いを浮かべながら、恐る恐る竹本へ聞いた。 「さ、流石に冗談だよね? 慶戸ったら……」 「俺が冗談を言うとでも?」 竹本はニヤッと笑う。 「いやいやいやいや!」 「無理だって! あのグラシヴォルを!?」 最知は本気で焦ったように止めに入った。 「5年前、北の町が壊滅したのを忘れたか!?」 おっちゃんも続いて止めに入る。 「まぁまぁ、落ち着けよ」 竹本は笑いながら、手で空気を払う。 「こっちにも倒せるっていう『根拠』があるんだ」 おっちゃんは目を丸くした。 「『根拠』なんて言葉を、お前から聞ける日が来るとは」 竹本はむっとすると、おっちゃんへ顔を近づける。 「いくらなんでも、俺を安く見すぎだっ」 一音一音を強調するように言い返した。 最知は呆れたように肩をすくめる。 「まぁ……日頃の行いが」 「お前まで!?」 竹本はショックを受けたように後ずさる。 「俺の味方はいねぇのかよ……」 「で、その根拠って?」 最知は暗くなった竹本など気にせず、話を戻した。 竹本はそっけない最知に少し驚く。 「あぁ根拠な、うん」 そう言うと竹本は席を立ち、廊下を数歩歩いた先の本棚を漁り始めた――― 後編→ ークレジットーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最知創大 おっちゃん 竹本慶戸