『ひぐらしの杜あやかし譚』第1話『目覚めの狐火』 「はぁ、はぁ、……クソっ、なんでボクがこんな目に!」 静寂に包まれるはずの深夜の裏山を、薄黄色の毛並みをしたケモノ——陽向(ひなた)が全力で駆け抜けていた。まだ14歳の陽向は、自分が「普通」だと思って育ってきた。しかし最近、感情が高ぶると、耳の先と、ふさふさとした1本の尻尾の先端から、オレンジ色の「狐火」がパチパチと火花を散らすようになっていた。その奇妙な霊力に引き寄せられるように現れたのが、背後から迫るどす黒い怨念の塊——『悪霊』の群れだった。 陽向「ひぃ……ッ!」 逃げ惑う陽向の前に、突如として夜の闇から、燃えるような深紅の毛並みを持った狛犬——阿裂(あれつ)が立ちはだかった。神社の入り口を守る門番でありながら、冷酷無比な戦闘狂。その瞳は猛獣のように赤く爛々と輝いている。 「おい、神域の入り口で派手にやってくれるな。目障りだ」 阿裂は冷たく言い放つと、超高速のステップで悪霊の懐へと一瞬で潜り込んだ。両足の『烈火具足』から鋭い鉄の爪を突き出し、爆発的な炎を纏って宙を舞う。 阿裂「『業火爪撃(ごうかそうげき)』!!」 赤い閃光が夜の闇を鮮やかに切り裂く。阿裂の一撃を受けた巨大な悪霊は、悲鳴を上げる暇もなく消滅した。唖然とする陽向の前に、参道の奥からもう一人、足音が近づいてくる。藍色の着物を着た黒い猫又——篝(かがり)が、愛用の煙管から紫の煙を吐き出しながら歩いてきた。 篝「やれやれ。阿裂、あまり脅してやるんじゃない よ。……坊や、怪我はないかい?」 篝は優しく微笑み、怯える陽向の頭を撫でた。その手つきは温かい。阿裂はフンと鼻を鳴らして爪の炎を消すと、 阿裂「次、無様に暴走しそうになったら俺が直接噛み殺してやる」 と、冷たく言い残して闇へと消えていく。 篝「アタシは篝。ここの裏で道具屋をやってる。坊や、あんたのその力……一度ちゃんと見てあげないとね」 未熟な少年と、彼を拾った神社の仲間たち。陽向の運命の歯車が、静かに回り始めた。 (第1話・完)
サムネ雑です、遅くなって本当に申し訳ないです....!!!真面目に書いたので、許しt((((( 旗押すと音楽、サムネに合わないですね 次回:まだよん☆ 【登場人物】 ・陽向(主人公、狐) ・阿裂(神社の門番、狛犬) ・篝(骨董品店の店長、猫又) 音楽:神のまにまに