左の旗は、必ずこの考察を読んでから押してください。 このプロジェクトは、なんか変なところで終わってるけど気にしないでね☆ 続きを作ってほしいとかのコメントがあったら作ります!! 中也編の他にも武装探偵社編とか敦編とか鏡花ちゃん編とか、、考えて欲しいのあったらおしえてちょんね 文豪ストレイドッグス BEAST --- 港の倉庫街は、いつもと同じように潮の香りと鉄の匂いが混じり合っていた。 中也は、一人で埠頭の端に立っていた。 灰色のコートの襟が風に揺れ、オレンジ色の髪が目の前をかすめるが、彼はそれを払うことさえしなかった。 手には、開封されていない手紙が一枚。 差出人は「太宰治」——もうこの世にいない男だ。 --- 以前、太宰は死んだ。 計画通り、完璧に、中也を見たあとに。 あの日から、中也の時間は止まったままだった。 仕事は続けた。敵は倒した。組織は守った。 だが、全てが色あせて見える。 まるで、世界から鮮やかさが抜け落ち、モノクロのフィルムを通して生きているようだ。 「あの糞鯖が……最後まで俺をからかってやがった」 中也は呟くと、ようやく手紙を開いた。 達筆すぎる字が、いつものあの調子で綴られていた。 『中也へ もしこれを読んでいるなら、私はもういないんだね。 ごめん、最後まで面倒をかけて。 でも、君が悲しむ顔を想像すると、なんだかちょっと楽しい。 ——冗談だよ。本当は、君に謝りたかった。 この世界を、君に押し付けて。』 中也は目を細めた。 風が強くなり、紙がばたつく。 『私がいない世界で、君はどうするつもり? たぶん、怒りながらも仕事を続けるんだろうね。 それが君らしい。 でも、時々でいいから、休んでみてよ。 ワインでも飲みながら、私の悪口を言って。』 「バカ……そんなこと、できるわけないだろ」 中也の声は、思った以上に震えていた。 『最後に、一つだけお願いがある。 中也、生きてくれ。 私が奪った敦くん達の未来を、お願いしたいんだ。 君ならできる。 ——だって、私の最高の狗だからね。』 手紙は、そこで終わっていた。 署名の下に、小さく「P.S. 帽子は似合ってるよ」と書いてあるのに気づき、中也はくすりと笑った。 そして、その笑みが涙に変わったのは、一瞬の後だった。 --- それから幾日か、中也は港を見つめる時間が増えた。 太宰の言葉は、彼の胸に深く刺さったまま抜けない。 「生きてくれ」——あの男が、そんなことを言うはずがない。 それなのに、なぜかそれが、中也を縛る鎖のように感じられた。 ある夜、中也は一人でバーに入った。 ウイスキーを頼み、グラスを傾けながら、彼は考えた。 太宰がいない世界。 彼が守ったこの横浜。 全てが虚しく、重くのしかかる。 「お前さん、ずいぶん暗い顔してるね」 バーテンダーが声をかけた。 中也はただ、軽く手を振っただけだ。 帰り道、中也はふと、あるビルの屋上に足を向けた。 かつて太宰と、仕事の後にぼんやりと街を見下ろした場所だ。 夜景は相変わらず美しく、無数の光が闇の中に浮かんでいる。 「生きてくれ、か……」 中也は少し冷たい夜風に当たりながら、深く息を吸った。 この高さから飛び降りれば、すべてが終わる。 重力を操る異能者であれば、なおさら確実に。 苦しむことも、思い出すことも、全てを断ち切ることができる。 「教えてくれ、太宰。俺は——」 その時、風が彼のコートをはためかせ、ポケットの中から何かが滑り落ちた。 中也が拾い上げると、それは古びた写真だった。 ——若き日の自分と太宰が、喧嘩しながらも、どこか満足そうに並んで立っている。 写真の裏には、みすぼらしい字で「最高の敵へ」と書いてあった。 太宰の字ではない。中也自身が、いつか無意識に書き込んだものだ。その下にも、文字が並んでいたが、中也はフッと笑って写真を見つめた。 「……最高の敵ねぇ…」 彼は写真をポケットに戻し、再び夜景を見つめた。 胸のうちに、ある思いが静かに灯った。 太宰に「生きてくれ」という願いを残された。 「俺…は、もう生きる理由も、生きる価値も、生きる意味も何もねぇんだ」 中也はそう呟くと屋上の端へと歩みを進めた。少しでも体重の加減を変えたら真っ逆さまに落ちるくらいの場所に、だ。 一歩一歩、足を運ぶたび、中也は安心したような表情へと変わっていく。 「やっとわかった、俺はお前の死を望んでなかった。死んでほしくなかったんだ。だがお前は死んだ。俺を悲しまさせるためだろうな、きっと」 中也は一生懸命に光り輝く一番星を見つめた。 「お前だけいい気になってんじゃねーよ」 中也は口角を上げ、優しい笑顔を浮かべた。ポートマフィアの幹部とは思えない、いかにも優しい、少年のような笑顔だった。 誰にも届かない笑顔を浮かべ、中也は一歩を踏み出した。 ——かつての相棒への、最後の反抗として。 「悪いな太宰。俺は、お前にも生きてほしかったんだ。俺一人じゃ無理だな」 ──────────────────────────────────── その話を聞きつけ、敦は急いで現場に向かった。 そこには、太宰のように綺麗に死んでいる中也がいた。 ふと、中也の腕の中を見ると、一枚の写真があった。もう血まみれで詳しくは見れないが、こう書いてあることだけがわかった。 【最高の敵】 俺と太宰は今日から双黒!!! あんなやつ大っ嫌いだ!!! (完)