【前回】 https://scratch.mit.edu/projects/1362063061 【次回】 https://scratch.mit.edu/projects/1363347957 今回も長いよ 【第三章】 黄色い子が十二歳になって、拾った子が六歳になった頃。 その子は、緑の髪を持つ可愛らしい少女となっていました。 今回はその子のことを、緑の子と呼称しておきましょう。 緑の子はよく笑う子でした。 この街に生きる者としては、少し不思議なくらいに。 曇った空を見ても笑い。 小さな花を見つけても笑い。 黄色い子が珍しく食べ物を多く持ち帰った日には、自分のことのように喜んで笑いました。 黄色い子には、その感覚がよく分かりませんでした。 この街に、そんなに笑う理由などあるのでしょうか。 けれど緑の子は笑います。 まるで世界がそれほど悪いものではないと信じているかのように。 もちろん、緑の子も貧しい暮らしを知っていました。 空腹も知っています。 寒さも知っています。 それでも彼女は、黄色い子ほどこの世界を諦めてはいませんでした。 それはきっと、黄色い子がいたからでしょう。 緑の子にとって、この世界は決して優しくありませんでした。 けれど世界そのものより先に、黄色い子と出会っていました。 だから彼女は知りません。 誰も助けてくれない夜を。 誰も自分の名を呼ばない日々を。 誰かの温もりを知らずに過ごす孤独を。 それらはすべて、黄色い子が先に引き受けてしまったものでした。 「お姉ちゃん」 緑の子はそう呼びました。 血の繋がりなどありません。 同じ姓もありません。 そもそも二人とも、自分たちの本当の名前すら知りません。 けれど緑の子にとって、黄色い子は間違いなく姉でした。 そして黄色い子も、その呼び名を否定したことはありませんでした。 最初はただの気まぐれだったのかもしれません。 捨てられなかっただけだったのかもしれません。 ですが六年という歳月は、そんな曖昧な理由をとうに通り越していました。 緑の子は、黄色い子の生きる理由になっていました。 それは黄色い子自身が、まだ認めたがらない事実でもありました。 なぜなら彼女は知っていたからです。 この世界で大切なものを持つということは、それを失う恐怖を抱えることと同じなのだと。 緑の子は未だに純粋なままでした。 それは奇跡のようなことでした。 この街で生まれ育ちながら、なお人を信じ、笑い、誰かの幸せを願えることは。 黄色い子には、それがどれほど危ういものか分かっていました。 それがいつまで続くかなんて分かりません。 いつか緑の子も知るでしょう。 空腹よりも醜いものがあることを。 寒さよりも痛いものがあることを。 人が人を傷つける理由が、必ずしも生きるためではないことを。 黄色い子には、その日が来るのを止めることはできません。 けれど。 遅らせることならできるかもしれません。 少しでも長く、その純粋さを守ることなら。 だから黄色い子は、その日、小さな路地裏の集落に緑の子を連れていきました。 街のさらに奥。 大人たちも滅多に近づかない、入り組んだ石造りの路地の先。 そこには幾人もの子どもたちが暮らしていました。 親を知らない子。 家を失った子。 名前さえ失くした子。 誰もが何かを失っていました。 けれど、不思議とそこには争いが少なかったのです。 奪うものが何も残っていなかったからかもしれません。 あるいは、失う痛みを知っている者ばかりだったからかもしれません。 「今日から、ここにいて」 黄色い子はそう言いました。 緑の子はきょとんとした顔をします。 「お姉ちゃんは?」 「私はいつも通り」 「一緒じゃないの?」 黄色い子は少しだけ言葉に詰まりました。 本当は一緒にいたいと思っていました。 けれど、それでは駄目なのです。 緑の子はもう六歳。 黄色い子が四六時中守り続けるには、あまりにも大きくなっていました。 「大丈夫」 だから彼女はそう言いました。 「ここにいるのはみんな仲間だから」 二人を拒み、傷つける人は居ない空間。 少なくとも黄色い子はそう信じていました。 そしてその日から、黄色い子は緑の子をそこに置き、自分は街へ出て食べ物や必要な物を探し、それらを集落へ運ぶようになりました。 朝に別れ。 夜に帰る。 そんな日々が始まりました。 緑の子はすぐに皆と仲良くなりました。 子どもたちの輪の中で笑い。 遊び。 誰かの話に目を輝かせ。 誰かが泣けば隣に座る。 黄色い子はそんな姿を遠くから眺めていました。 そして、少しだけ安心するのです。 ここなら大丈夫。 この子はまだ笑っていられる。 この子はまだ世界の優しい部分だけを見ていられる。 だから、これでいい。 そう自分に言い聞かせていました。 【第四章】 それから黄色い子が十六歳になった頃。 緑の子は十歳になっていました。 四年という歳月が流れていました。 子どもにとってはとても長い時間です。 緑の子の背は伸び、幼さの残る顔立ちにも少しずつ大人びた面影が差し始めていました。 それでも彼女は変わらずよく笑いました。 集落もまた、一見すると何も変わっていないように見えました。 大きな子たちが食べ物を集め。 小さな子たちを守り。 皆で分け合いながら生きていく。 他では決して見られない光景。 奇跡のような居場所。 そこには今も確かに、それがありました。 新しい子も増えていました。 怯えた顔でやって来る子。 傷だらけの子。 誰にも名前を呼ばれなくなった子。 そんな子たちを集落は受け入れました。 昔、自分たちが受け入れられたように。 だから人数は増えているはずでした。 増えている、はずなのです。 けれど。 ずっと前から居たはずの何人かが、いつの間にか姿を消していました。 最初は誰も気にしませんでした。 この街では珍しいことではないからです。 一人で生きると決めて出ていく者もいます。 もっと良い場所を見つけたと言って去る者もいます。 病気などが原因で亡くなってしまう者だって少なくありません。 だから皆、深くは考えませんでした。 「そういえば、あの子最近見ないね」 その程度の話です。 次の日には別の話題になっていました。 集落は相変わらず優しかったからです。 相変わらず温かかったからです。 誰も疑いたくありませんでした。 疑う必要もないと思っていました。 緑の子もそうでした。 新しく来た子に寝床を譲り。 泣いている子の話を聞き。 誰かが持ち帰った少し甘い果物を皆で分けて喜ぶ。 そんな毎日を送っていました。 けれど黄色い子だけは、時折考えることがありました。 夜。 集落の入口近くに座りながら。 ふと人数を数えてしまうのです。 そして思います。 ――あの子は、いつから居なくなったんだっけ。 名前も顔も覚えています。 昔、一緒に食べ物を探したこともあります。 緑の子の髪を結んでくれたこともありました。 なのに。 いつ居なくなったのかだけが思い出せません。 不思議なほどに。 まるで最初から曖昧だったかのように。 「……考えすぎかな」 黄色い子はそう呟きました。 この場所を疑いたくありませんでした。 緑の子を守ってくれた場所です。 自分が信じることを選んだ場所です。 だから、きっと気のせいなのだと。 そう思うことにしました。 けれど人は時として、違和感に気づくずっと前から、その影を見ているものです。 それはまだ誰の言葉にもなっていませんでした。 集落は今日も穏やかでした。 子どもたちは笑っています。 皆で助け合い、生きています。 それは紛れもない事実でした。 ただ、その優しい風景の片隅には。 誰も触れようとしない空白が、少しずつ積み重なり始めていたのです。 【あとがき】 こんちくわ(?) Ghost-413です! 公開するする詐欺でごめんなさい!(((( だってコレ作るの地味に面倒なんですもん((((((殴 ところどころ矛盾していたり、文がおかしくなっているかもしれませんが、細かい文章自体は全てAI君に 書いてもらってるからなので、お見逃しください((((は? 一応自分が一周して見直しはしてます!