※これは8章の続きだよ!今回2つ一気にだしたから、 分かりにくいかもだけど、まだ7,8章を見てないって 人は⇩のURLに飛んでね! 【前回】 https://scratch.mit.edu/projects/1363581793 A.一度だって彼女らは道を間違えたりしていません。 ただ必死になって「今」を生きていただけです。 今回は特別長いよ。時間があるときに見てね。 【第九章】 黄色い子は、その場から逃げてしまいました。 ガラス片を投げ捨てたのか。 それとも握ったままだったのか。 そんなことすらも覚えていません。 ただ、気づけば走っていました。 ただひたすらに。 後ろを振り返ることもなく。 石畳を蹴り。 路地を抜け。 息が切れても走り続けました。 まるで何かに追われているみたいに。 ...いいえ。 実際に追われていたのでしょう。 自分自身に。 生まれながらにこの世界に染まっていた黄色い子でも。 耐えられるものではありませんでした。 空腹を知っています。 暴力を知っています。 理不尽を知っています。 人が消えていくことだって知っています。 けれど。 それらを知っていることと。 自分がその中心になることは、まるで違いました。 頭がぐるぐると回ります。 痛いほどに。 考えたくないのに考えてしまいます。 あの光景が。 あの赤色が。 あの動かない身体が。 何度も何度も脳裏に浮かびました。 「違う」 黄色い子は呟きます。 誰に聞かせるでもなく。 「違う」 もう一度。 けれど何が違うのか、自分でも分かりませんでした。 生きるためだった。 仕方なかった。 自分がやらなければ、今度は自分が消えていた。 そんな言葉はいくらでも並べられます。 実際、そのどれも間違いではないのでしょう。 それでも。 胸の奥に沈んだ重さは消えてくれません。 自分のしてしまったことの重みに耐えられず。 黄色い子はおかしくなってしまいそうでした。 足は勝手に動き続けています。 どこへ向かっているのかも分かりません。 集落へ帰るべきです。 緑の子が待っています。 それなのに。 今の自分が帰っていいのでしょうか。 あの子の前に立っていいのでしょうか。 「お姉ちゃん」 そう呼ばれたとき。 自分は今までと同じ顔で笑えるのでしょうか。 黄色い子には分かりませんでした。 分かることは一つだけです。 自分の中で何かが壊れてしまったこと。 たったそれだけ。 【第十章】 夕闇はもうすでに街を覆っていました。 そしてその暗闇は、まるで黄色い子の心の中へも静かに染み込んでいくようでした。 その鉛のように重い足取りで。 気づけば黄色い子は集落の近くまで帰ってきていました。 いつもの帰り道です。 何度も歩いた路地。 見慣れた壁。 けれど今日は、そのどちらもがどこか遠く感じました。 まるで自分だけが違う世界に迷い込んでしまったみたいに。 黄色い子は歩き続けます。 一歩。 また一歩。 重たい足を引きずりながら。 その頃には。 彼女はずっと考えてきていました。 考えて。 考えて。 考えて。 考えて。 考えて。 考えて。 考えて。 考えて。 そしてまた考えてきていました。 あの時のことを。 自分のしたことを。 あの赤い光景を。 何度も頭の中で繰り返しながら。 苦しくなるたびに否定して。 否定しきれなくなって。 また考えて。 そうして。 .....。 一つの答えへ辿り着いてしまったのです。 本当は辿り着きたくなかった答えに。 けれど黄色い子には、それ以外の道が思いつきませんでした。 緑の子は優しい子です。 誰よりも優しい子です。 この世界をまだ信じている子です。 人を助けたいと思える子です。 誰かの涙を見れば隣に座る子です。 黄色い子はそんな彼女を守りたかった。 ずっと。 誰よりも。 自分の何よりも。 だからこそ。 黄色い子は気づいてしまいました。 自分はもう、その隣にいてはいけないのではないかと。 あの子が見ている世界に。 自分という存在は相応しくないのではないかと。 今日の出来事を話せば、きっと緑の子は悲しむでしょう。 隠せば、いつか自分が壊れるでしょう。 どちらにしても。 自分はもう、以前と同じではいられません。 だから。 黄色い子は答えを見つけてしまったのです。 それは救いではありませんでした。 希望でもありませんでした。 むしろ、自分自身を切り捨てるための結論でした。 けれど彼女には、それが唯一の正解に思えたのです。 集落の入口はもうすぐそこでした。 【第十一章】 子どもたちの笑い声が、かすかに聞こえてきます。 その音を聞いた瞬間。 黄色い子は胸の奥がひどく痛みました。 なぜなら。 その笑い声を聞くのが、最後になるのだと。 彼女自身が決めてしまっていたからです。 黄色い子は集落へ入りました。 いつもと同じように。 何事もなかったかのように。 けれど胸の内だけは、少しも変わらず重たいままでした。 集落には見慣れた顔が並んでいます。 子どもたちの笑い声。 みんなで食べ物を分け合っている様子。 穏やかな空気。 いつもと何も変わりません。 そして。 緑の子もそこにいました。 「お姉ちゃん!」 黄色い子の姿を見つけた途端、嬉しそうに駆け寄ってきます。 その顔は変わっていませんでした。 何も知りません。 何も失っていません。 黄色い子が守りたかったままの姿です。 だからこそ。 黄色い子は視線を逸らしました。 ....裾についた汚れを、それとなく隠しながら。 「どうしたの?」 緑の子が首を傾げます。 黄色い子は少しだけ黙りました。 言葉を選んでいるようで。 本当は、言いたいことが何一つ見つからなかっただけでした。 「用事ができたんだ」 ようやくそう言います。 声が裏返ってしまわなかったか少し心配になりながら。 「しばらく帰ってこられない」 そう言いました。 緑の子は目を丸くしました。 「どれくらい?」 黄色い子は答えませんでした。 答えられませんでした。 本当はもう戻っては来られないことなど分かりきっていたのに。 なのに代わりの言葉を言います。 「それまで、ここでみんなと待ってて」 「すぐ帰ってくる?」 再びされたその問いに。 黄色い子は一瞬だけ息を止めました。 そして小さく頷きました。 嘘でした。 おそらく人生で一番大きな嘘でした。 けれど他に誤魔化し方を知りませんでした。 「うん」 帰ってきた言葉はそれだけ。 緑の子は安心したように笑いました。 疑いもしません。 黄色い子が約束を破るはずがないと信じているからです。 その笑顔を見た瞬間。 黄色い子は再び思いました。 ——駄目だ。 とても言えない。 これでさよならだなんて。 二度と会えないかもしれないだなんて。 そんな言葉を、この子に向けることはできませんでした。 だから黄色い子は背を向けました。 いつも通り出かけるみたいに。 ただ少し遠くへ行くだけみたいに。 振り返りませんでした。 振り返ったら、きっと行けなくなるからです。 集落を離れます。 一歩。 また一歩。 すっかり暗くなった路地を歩いていきます。 その途中。 何人かの視線を感じました。 集落にいる、自分と同じくらいの年頃の子たちです。 その視線は、どこか冷たく感じました。 気のせいかもしれません。 気のせいではないのかもしれません。 裾を見られてしまったのでしょうか。 ....隠しきれなかった赤い染みを。 今日、自分が背負ってしまったものを。 黄色い子には分かりませんでした。 けれど。 そんなことも今となっては、もうどうでもよかったのです。 疑われてもいい。 嫌われてもいい。 罵られてもいい。 それで緑の子が守られるのなら。 それで緑の子が、この優しい場所で生きていけるのなら。 黄色い子は構いませんでした。 だから彼女は歩き続けます。 一度も振り返らずに。 後ろで待っている「お姉ちゃん」という声の主を、置いて。 真夜中の街の中を走りました。 独りで。 ... ... ... 【終わり】 ……その日の朝。 その街では、いくつかの通報があったそうです。 一つは、路地裏で二十六歳ほどの男性が血まみれで倒れているというもの。 発見された時には既に動かなくなっていたとも。 あるいは、まだ息があったとも。 噂話というものは、いつだって少しずつ形を変えます。 だから真実は分かりません。 ただ、その場所には大量の血が残されていたそうです。 ....そしてもう一つ。 それは、そこからずっとずっと離れた場所。 川辺でのことでした。 十六歳ほどの少女の水死体が流れ着いているのが見つかったそうです。 身元は不明。 名前も分からない。 家族も分からない。 誰がその死を悼(いた)むのかも分からない。 そんな少女でした。 街の人々は少しだけ噂をしました。 そしてすぐに忘れました。 この街では珍しい話ではなかったからです。 誰かが消えることも。 誰かが死ぬことも。 日常の一部でした。 だから翌日には別の話題になっていました。 パンの値段が上がったとか。 どこそこで喧嘩があったとか。 誰それが姿を消したとか。 それだけです。 けれど。 路地裏の集落にいる子どもたちは知りません。 その話を。 ...少なくとも緑の子は知りません。 だから彼女は今日も待っています。 黄色い子が帰ってくるのを。 「用事が終わったら戻るから」 そう言われたから。 黄色い子は約束を破らないから。 だから待っています。 一日。 二日。 三日。 何日でも。 信じているからです。 ....少し話を戻します。 川で見つかった少女の顔は、長い時間水に晒されていたせいで判別が難しかったといいます。 服も傷み。 持ち物もありませんでした。 だから誰だったのか。 本当に十六歳だったのか。 本当にあの集落の誰かだったのか。 誰にも分かりません。 分からないまま。 その話は街の雑音の中へ沈んでいきました。 ....ただ一つだけ確かなことがあります。 その日から。 集落へ帰ってくることはありませんでした。 黄色い髪の少女は。 緑の子が「お姉ちゃん」と呼んでいた、その少女は。 二度と。 そして緑の子は、まだ知りません。 最後に見たあの背中が。 自分へ向けられた精一杯の嘘と、 精一杯の愛情だったことを。 【あとがき】 こんにちは、Ghost-413です! 先に感謝の意を! 毎回感想を書いてくれた人たち、 次回が楽しみと言ってくれた人たち、 そして、ここまで飽きてしまうことなく 読んでくれた皆様、心より感謝をもし上げます! (...実際は1人いるかなくらいの人数ですが...) .....少し(というよりかなり)内容が重すぎますね(汗) もし次の機会があれば、もう少し暗くないものに しようと思います....! では、さようなら〜!-^.^)ノシ 使わせていただいたBGM「虚しさと星空」 URL : https://amachamusic.chagasi.com/ (以下コピペ) ところどころ矛盾していたり、文がおかしくなっているかもしれませんが、細かい文章自体は全てAI君に 書いてもらってるからなので、お見逃しください((((は? 一応自分が一周して見直しはしてます!