「自分に才能なんてなにもない…」って自分を卑下したりしない?誇れる能力を何も身につけてない? 何かができる人間が羨ましい?人の希望になれるような人になりたいけど自分にゃ無理だぁ? 僕様はそんなおまいらを嘲笑うためにこの希望ヶ峰学園に入学する決意を固めた。 希望ヶ峰学園、国家公認の私立高校。外装も設備も満点!だけど…この学園にはスカウトされた人間しか入学が許されていない。もちろん、僕も才能を持っていたからスカウトされたんだよ!スカウトさえされれば受験なしに入学できる。 「名前を書けば受かる高校」ですらなく「何もしなくても受かる高校」だな。だってその「スカウト」ってのは単なる功績じゃなく、凄まじい才能を持ってしての功績を讃えた上のスカウトなんだ。 産まれた瞬間に才能さえ持っていれば受かる。 「怪しい」って思うだろ?でも実際学園側も不真面目じゃないんだ。どうやら「卒業すれば人生の成功が約束される」んだとよ。 確かに、この学園から卒業して世に羽ばたいてるのは功績を上げた奴らばかりだ…。 「でも僕が思うのはな〜。」 担任の演説に口を挟む。 「卒業したら人生の成功が約束される、って言うが、人生成功させられる人だけをスカウトしてるんだから学園とか関係なしに当たり前じゃね?」 向こうの言い分としてはこうだ、「この学園は才能の育成を目的としていてーー」そうか?調べた感じ卒業生はみんなそこまで変わってなかったけど。 それに声の感じから適当に言ったか、それとも他の教師が言ってたことをそのまま引用したか、だろう。これだから教師は嫌いだ…。 ???「お前の『希望ヶ峰にスカウトされたーー』ってのは本当に嘘じゃなかったんだな。お前のことだからまた嘘なんじゃないかって思ってた。」 ???「酷いなぁ、確かに僕は虚言癖だけどそこまで疑ってたのか…僕ら親友だろ?なぁ、最書野。」 最書野 日貝砂 (サイショノ ヒガイシャ) 超高校級の不遇 こいつは僕と小・中学校が同じな親友で、いつも気難しい表情をしているがツッコミ役として一緒にいて楽しい奴だ。 ただ、とんでもなく不幸に見舞われる奴で… 例えば、住宅街の交差してるところでウサインボルト以上のスピードで走る少女に角でぶつかられて電柱にバタン、この肥満野郎に恋愛のチャンスが訪れる暇もなく頭から地面に落ちる。起き上がると泥に足を突っ込み、同時に見知らぬ奴にチッラクスとかいう宗教に勧誘されたので軽くあしらったらブチギレられてしつこく十字架で殴ってきたんだとか。 やっと逃げた先に待ち受けていたのは森から同じく逃げ出した熊。こいつはどこまでツイてないんだ?でもやっぱりタフな奴だ。こんな調子なのに毎日生還してるわけだし。実は幸運なのか? ひとまず、最書野も歩けば雷に当たる。それがそのまま才能となってスカウトされたらしい。どういうこっちゃねん。 サイショノ「酷い、だぁ?そらお前に才能の内容を聞いても真面目に答えてくれないからだろ。」 ???「僕はちゃんと真面目に答えてるさ。その不遇の才能とやらもふざけてると思うがな。」 サイショノ「俺が聞きてぇよ!不遇の才能成長させたって損するだけだろ!というかなんか俺BAKAみてぇじゃねぇか!不遇として入学して?その上!全国で俺の情報見れるんだろ?たまったもんじゃない!!!」 ???「ごめんてごめんて() よほどコンプレックスなんだな。」 サイショノ「いいだろう許そう。だって俺はこれからお前の真の才能を暴いてやれるんだからなぁ…へへ…。何が『椎生大希、“超高校級の天才” 』だぁ?そんなことあるわけが………え?」 シイ「言ったろ。僕は嘘をついていない。」 椎生大希 (シイ タイキ) 超高校級の天才? 希望ヶ峰83期生は多い。8クラスくらいに別れてて、とてつもなく多い。とりあえず全員の顔と名前は覚えられない。 そんでもって、1学期も終わりにかかってた頃だった。僕は人より睡眠量が多く、たかが目覚まし時計じゃ起きない。 そんなこんなで、最書野の不遇の座を横取りできるくらいの勢いで遅刻をかましていた。 タンニン「椎生大希君、君は遅刻しすぎだ。」 シイ「そうだね〜 ごめんなさいね本当に。」 タンニン「夏休み中、補習に来るように。」 シイ「えっ、今なんて?」 タンニン「この学園は才能を伸ばすことを目的としている。」 シイ「あーはいはい そーですねー」 タンニン「なのに君は学園からの援助や温情を無視してむしろ全員の指揮を悪化させてるじゃないか。君のその才能は、君のためのものではなく、“希望の象徴”として人類のために…」 シイ「嫌になっちゃうよね〜…別に誰の希望のために才能を伸ばせなんて最初書いてなかったのに。来てみたら人類のために動け、人類のために動け、って…僕はやれって言われたらやりたくなくなるんだ。他の卒業生みたいに人類なんかに良いように利用されたくないね。」 この時異変に気づけば良かった。担任の目に光は灯っていない。まるで…ロボットだったのだ。僕は同調に負ける人間はみんなロボットのように見えていたので気にかけることはできなかったけど今度は…そう、ロボットそのものだったのだろうか。 要はいつもとは訳が違うんだ。そう、学園長も。 ガクエンチョウ「来るんだ。」 シイ「ん、あんたもいたのか…」 ガクエンチョウ「来るんだ。」 シイ「どこに?補習ってか」 ガクエンチョウ「ああ。来るんだ。」 シイ「同じことずっと言われたって僕は動かないよ〜() そういう時は『どうぞ、お願いします。』って言うんだy」 ガクエンチョウ「どうぞ、お願いします。」 冗談だよ、と言うのは遅かった。ちょっと2人をおちょくろうとしただけなのに大真面目に受け入れて… とはいえ、約束を破ると逃げたって思われるだろう。そんで逃げたと思われるのはもっと嫌いだ。 仕方ない、行ってやるか…。
【↓続き↓】 サイショノ「お。」 教室に入るとなぜか最書野が。え?今「なぜか」って言った?今ここにいるんだから補習に決まってるじゃないか。夏の暑さで頭が悪くなってしまったようだ。 サイショノ「なんでお前が?」 あ?今頭で考えたことをもう一度説明しろと?嫌だね。 シイ「とりあえず僕はこの筆記の14教科の問題集の中から3教科選んで解かなきゃいけないみたいだ。僕数学と情報やるから、最書野は好きな教科を1つやってよ。」 サイショノ「あんだって?自身の才能を用いた実験に関するレポートを書いてんだよこっちは!15枚!!学園は俺をいじめたいだけだろ!!!!」 シイ「お前確か公民得意だったよな…じゃあそれを頼む。」 サイショノ「あのなぁ…」 最書野はしぶしぶ承諾した。こっちでどんどん話を進めればチョロいな。とはいえ可哀想だから帰る時にアイスでも買って…いや。やめとこう。この前あいつのために買ったアイスはひと噛みで全部ボロボロに砕け散ったんだ。 ひとまず、帰って良いという合図でチャイムが鳴った。僕は情報は終わらせたが退屈とやる気の問題で数学が全然進んでない。最書野は散々シャーペンの芯が折れて精神も折れたと推測できる表情で椅子にもたれかかって口を開けていた。 絶望的なことに、結局最書野は公民が半分、レポート1枚目の途中。まぁ、僕ら2人とも続きは明日だ。 サイショノ「なぁ、大希。」 廊下を歩いてるところで最書野がつぶやく。 シイ「どした」 サイショノ「“アレ”が来た。」 シイ「あぁ、“アレ”ね〜。僕は糞をしようとお前を待ち構えてるハト20匹!と予想するぞ!」 “アレ” というのは最書野の危機察知のことだ。不遇というのはあいつの体質、体質だからこそ何か起こる時ってのはなんとなくタイミングが掴めるようになるのだろう…しかし、察知しただけで自分自身の運命は変えられない、精々近くにいる人が巻き込まれないようになるだけだ。可哀想に。 サイショノ「いや、ちょっと違うんだ…なんだろうな。希望ヶ峰学園からメールが送られた時からずっと続いてる種類の違和感が今爆発するようにガンガンアラートを発し続けてる、みたいな?」 シイ「説明下手くそかよ…要は、入学する前から今回のアレは来てたんだな?」 サイショノがコクリと頷く。この時に気づいた、こいつはいつもよりだいぶ顔を強張らせている。 サイショノ「学園の扉は俺が開けるよ。お前は巻き込まれなくて良い…。」 シイ「ああ、そうしてくれ。」 サイショノが震える手で校舎の扉を開けようとする。ギュッと目を閉じて、一気に力を入れる!! …扉は開かなかった。 サイショノが目を開けて顔をしかめる。もう1回、もう1回と 力を入れ、挙げ句の果ての壁に足をつけて全力を出していた。しかしそれでも扉は開かない。 シイ「おまい腕力なさすぎだろ…多分、おまいが離れていれば災害は起きたりしないし僕は天才だから避けられるっしょ。もう僕が開ける。」 最書野のため息と同時に扉を引くがどれだけ力を入れても開く様子はなかった。…鍵がかかってる? ピンポンパンポーン 校内放送の音が鳴ったが今度は扉の下などに何か挟まってたりしないか見る。 ホウソウ「えー マイクテス。マイクテス。オマエラ、聞こえてますか〜?」 針金を使ってピッキングを試みた。ダメだ、ピッキング防止加工が塗ってある。 ホウソウ「補習にハマったオマエラは『選ばれた』んだよ!ただちに、体育館に来るように!」 しょうがない、普通に教師共に鍵を開けてもらおう…。 シイ「よし職員室行くか。」 サイショノ「お前今の放送聞いてたか?」 シイ「ごっめん話聞いてなかったわ。」 サイショノ「お前なぁ……。」 最書野は放送の内容を復唱する。椎生は驚き、「本当に放送が僕らのことをオマエラ呼びしてたのか」と聞く。本当にそうで、また、声は子供のように高かったらしい。 サイショノ「俺はイタズラだと思いたい。でも…逆らうのはなんか怖いし…………………」 シイ「どうしてだ?こういう時は体育館にダルい罠が張ってあって〜とかだろ。希望ヶ峰には色々な才能を持った奴らが集中している。行かない方がいいに決まってるじゃんか?」 サイショノ「あくまでもイタズラだと思いたいんだ、でも…あいつの声はなにやらドス黒いオーラを持っていた。表面だけ見ればイタズラだけど、声はマジだ。」 シイ「“そう思う”の話か?」 サイショノ「………。」 …………まぁ、いいだろう。最書野を体育館まで連れてゆく。一歩一歩進む度に僕にも最書野の「アレ」が分かるように、それは足の重みで感じることができた。 体育館の扉の先が禍々しい。一瞬躊躇する。この先に待ち受けるのは何か、そこで改めて実感する、今はもう既に非日常なのだと。結局決心がつくのは早く、さっさと覚悟を決めて体育館の扉を勢いよく開けた。 バタン。 知ってるヤツも、知らないヤツも混ざっている、14人の超高校級の生徒達が同様に困惑した表情でそこにいた。 つづく… 【クレジット】 原作:ダンガンロンパ