「…これが、奴の研究室に残っていた資料だ」 「へぇー…意外と多いんすね」 「研究熱心だったからな…内容はさておき」 「あっ、ずっと気になってたんですけどこの人結局何の研究してたんすか?」 「難しいな…なんというか、無から有を生み出す…みたいな?」 「ふーん…ちょっとよくわかんないっすね」 「たとえば、何もないところから突然ボールを出したり…みたいな」 「えーっ!?めっちゃすごいじゃないっすか!んで、その研究は成功したんすか?」 「いいや、研究者自身が行方不明になって未完成のまま終わったよ」 「ちぇー…」 「何がちぇーだ。ほら、資料の整理手伝え」 「了解っす!」 「…そろそろ定時だな。お前は先に上がっとけ。あとは俺がやる」 「え?俺もやりますよ!」 「お前はまだ若いんだから無理すんな。さっさと帰れ」 「はーい…んじゃ先輩、お疲れ様でしたっす!」 「あーい、お疲れー…」 「…」 「ん…?なんだこのビデオ…」 「…『Campanella』?」 「…まぁ、一応見ておくか…」 『…よし、これでOKだな。しっかり録画できてるよな?』 「(…あいつか…)」 『おっほん!皆の衆!私はついに、無から有を生み出す装置を完成させたぞ!』 「(なっ…完成させていたのか…!?研究日誌は未完成の部分で終わっていたはず…)」 『これから一番最初の試運転を行う!』 『えーと、ここのボタンを押して…』 『…おお!!動き出したぞ!やはり実験は成功だ!』 『…ん?なんだ?おかしいぞ、実験と同じ挙動にならない!』 『なっ、誰だお前は!ここにどうやって入った!』 「(何だ…逆光でよく見えないが…人かげ…?)」 「ー、ーーーー。ーーーーーーーーーーーーーーーー…」 「(何を言っているかわからない…映像の不具合か?)」 『あ…あぁ…貴方は…』 『とても…美しい…』 「…」 「(奴はすでに、装置を完成させていた…)」 「(それにあの人影…)」 「(…奴は禁忌を犯したんだ)」 「(人間なんかが手を伸ばしてはいけない、神の領域へ踏み込む禁忌を)」
bgm「La campanella」