魔法少女は、人に恋をしてはいけない。 それは決まりだった。 人を救うために生まれた存在が、たった一人を特別に愛してしまえば、使命を見失う。 そして何より――世界を終わらせる、禁断の魔法が生まれてしまうから。 愛が強すぎた者だけが辿り着く、破滅の魔法。 そんな力を、使ってしまう可能性があったから。 リリー・マジカリティ。 彼女は神によって造られた魔法少女だった。 人々に能力を与え、世界をより良い方向へ導く。 それが彼女に与えられた使命。 誰か一人のために生きることなど、許されていなかった。 ……そのはずだった。 ある日、リリーは一人の少年と出会う。 緑愛 海。 初めはただの人間だった。 けれど、彼と過ごす時間は、リリーにとって初めて知るものばかりだった。 使命のためではない笑顔。 誰かを救うためではない優しさ。 ただ一人の少女として過ごす時間。 リリーは恋をした。 本当はいけないと分かっていた。 魔法少女は、人間に恋をしてはいけない。 それでも。 「好きだ」 そう伝えてくれた海の言葉を、拒むことなんてできなかった。 リリーは禁忌を破った。 使命よりも。 世界よりも。 海を選んだ。 「ずっと一緒にいるよ」 「いつか結婚したいね」 そんな未来を語った。 それはリリーにとって、何よりも大切な約束だった。 数ヶ月後。 突然、知らせが届いた。 海が、彼の通う高校の屋上から飛び降りた。 らしい。 「……は?」 信じられなかった。 嘘だと思った。 昨日まで笑っていた。 未来を話していた。 そんな彼が、いなくなるなんて。 でも。 現実は非情だった。 海の部屋で、リリーは一枚の紙を見つけた。 遺書。 そこには書かれていた。 いじめが怖かった。 誰にも言えなかった。 ごめん。 「怖い?」 「ごめん?」 何を言っているの? 私はただ―― あなたと一緒にいたかっただけなのに。 リリーは知る。 海を追い詰めた人間がいることを。 そして、その人物が、かつて自分が能力を与えた相手だったことを。 自分は人を救うために力を与えた。 なのに。 その力が、大切な人を奪った。 「あいつらが悪いんだ」 「そうなんだ」 「全部理解しちゃった」 リリーの中で、敵は広がっていく。 海を傷つけた人間。 そんな人間が生まれる世界。 そんな世界を作った人間そのもの。 「あいつらを」 「人間を」 「根絶やしにすれば良いんだよね」 本当は。 本当は、そんなことしたいわけじゃない。 ただ。 あなたと過ごしたかった。 ただ、それだけだった。 「けれど、それが守られないっていうんだったら」 「あなたがいない世界なんか」 「あいつらみたいなやつが生まれてくる世界なんか」 「私が全部壊してあげる」 魔法少女は、杖を握る。 人を救うために与えられた力。 誰かを幸せにするための魔法。 その全てを、一つの感情へ変える。 「私の愛も」 「憎しみも」 「全部この魔法に込めるね」 愛したから、憎んだ。 失ったから、壊す。 それが彼女の最後の答えだった。 「消え去ってしまえ」 世界を終わらせる禁断の魔法。 その名は―― 『愛憎』
定期すぎるストーリーの長さ。まぁ、可愛いと思っていただけたら嬉しいですね。中見ると面白いよ(多分) バグってたら教えてください クレ表記 メズマライザー/サツキ様 背景の参考元 https://scratch.mit.edu/projects/1326937694/ 魔法少女時の服 https://scratch.mit.edu/projects/1207067061/