第一章↓ https://scratch.mit.edu/projects/1388803804 はじめに 気持ち緩く読んでくれ〜! 文章クソかもだけど許して! 登場人物 ・黒崎悠人(くろさき ゆうと) ・伊藤紬(いとう つむぎ) ・その他〜 メモクレで読んでね〜! 表紙はチャッピーに頼みました! (チャッピー神すぎるっ!!!)
もし、人生に「やり直し」が一度だけ許されるとしたら。 あなたは、いつに戻りたいと思う? 初めて誰かを好きになった日。 大切な人と喧嘩をした日。 夢を諦めた日。 あるいは、誰かと出会った日。 僕は、きっと迷う。 戻りたい日が、あまりにも多すぎるからだ。 もっと早く学校へ行けばよかった。 もっと人と話せばよかった。 もっと自分に自信を持てばよかった。 もっと素直になればよかった。 あのとき、別の言葉を選んでいたら。 あのとき、もう一歩だけ踏み出していたら。 そんなことを考え始めれば、きりがない。 けれど。 今になって思う。 僕は、本当に過去をやり直したいのだろうか。 もし、あの日に戻ってしまったら。 あの夏に戻ってしまったら。 僕は、彼女と出会えなくなるかもしれない。 そう考えると、過去を変えたいとは思えなくなる。 だからこれは、後悔の話ではない。 少なくとも、僕にとっては。 これは、一人の人間が、誰かと出会って、誰かを知って、誰かを大切に思うようになるまでの話だ。 そして同時に。 何もできなかった僕が、自分の気持ちを一つだけ、自分の言葉で選ぶまでの話でもある。 高校二年生の夏。 僕は、自分の部屋にいた。 窓の外では蝉が鳴いていた。 朝からずっと、同じ場所で。 何度も。 何度も。 僕は、その声を聞きながら、ベッドの上で天井を眺めていた。 時計は午後二時を少し過ぎている。 昼食を食べてから、もう二時間近く経っていた。 部屋の中は冷房が効いている。 机の上には、夏休みの宿題。 教科書。 筆箱。 飲みかけのペットボトル。 どれも、何日も同じ場所に置かれている。 片付けようとは思わなかった。 片付けたところで、何かが変わるわけではないからだ。 僕は、そういう考え方をするようになっていた。 何をしても意味がない。 何かを始めても続かない。 頑張っても、誰かに追いつけるわけじゃない。 だったら、最初から何もしない方がいい。 それが正しいのか間違っているのかは、もう考えなくなっていた。 ただ、そうしている方が楽だった。 楽という言葉が正しいのかも分からない。 苦しくないだけだった。 学校に行かなくなって、しばらく経つ。 最初の頃は、毎朝決まった時間に目を覚ましていた。 制服にも着替えていた。 玄関まで行ったこともある。 靴を履いて。 ドアノブに手をかけて。 それでも、外へ出られなかった。 玄関の向こうに何があるわけでもない。 ただ道路がある。 近所の家がある。 駅まで続く道がある。 学校がある。 それだけだ。 なのに、僕にはその先へ進めなかった。 学校に行ったところで、誰も僕を必要としていない。 教室に入っても、自分の席に座るだけ。 誰かに話しかけられれば、どう答えればいいか分からない。 笑うべきなのか。 相槌を打つべきなのか。 何か面白いことを返すべきなのか。 そんなことを考えているうちに、会話は終わる。 そして僕は、一人になる。 一人になること自体は嫌ではなかった。 ただ。 一人でいる自分を、誰かに見られることが嫌だった。 だから僕は、少しずつ外から離れていった。 学校から。 友達から。 近所の人から。 そして、いつの間にか、自分自身からも。 両親は、何も言わなくなった。 それがありがたかった。 同時に、少しだけ怖かった。 人は、期待されなくなると、こんなにも静かになるのだと知った。 ある日の朝。 母が僕の部屋の前で言った。 「悠人」 「……うん」 「今日、病院の予約があるけど」 「行かない」 「……そう」 それだけだった。 怒鳴られることもなかった。 説得されることもなかった。 足音が遠ざかっていく。 僕は布団の中で目を閉じた。 その瞬間。 胸の奥に、言葉にできないものが残った。 申し訳ない。 そう思った。 でも、それ以上に。 どうして僕はこんな人間なんだろうと思った。 その問いには、答えがなかった。 答えがないから、考えることをやめた。 そうして一日が終わる。 また次の日が来る。 同じことを繰り返す。 それが僕の毎日だった。 ――あの日までは。 人生というものは、不思議だ。 何か大きな出来事が起きたから変わるとは限らない。 たった一人の人間と話しただけで。 たった一度の笑顔を見ただけで。 たった一言の言葉を聞いただけで。 昨日まで当たり前だったものが、少しずつ変わっていくことがある。 僕の場合、それは一人の女の子だった。 僕と同じ高校の、同じ学年。 これは、僕、黒崎悠人が一人の人物によって、 人生が大きく変わる話だ。