第二章 https://scratch.mit.edu/projects/841934102/ (旗を押してから読んでください) これは、去年から一昨年にかけての話。 ウチが「あの子」と出会ったのは中学の仮入部のとき。頭が良さそうで、おとなしそうだけど、芯は強そう。それが第一印象。実際に話してみると、それに加えて、優しくて、他人に自慢しないことがわかった。「あの子」は通知表はほとんど五だし、定期テストの総合順位だって、二桁に行ったことない。思わず「ああ、親の育て方がいいとこんな良い子になるんだろうな」ってなっちゃった。 ウチや「あの子」が入った自科部は、Scratchでいろいろな作品を作るという部活。この年入った部員はウチと「あの子」と平中の三人。それでね「あの子」は、スクラッチのアカウント持ちでフォロワー300人(2023年6月現在では3000人越え)越えの大物スクラッチャーなんだ。ウチとはいろんな意味で天地の差だね。 話は変わるけど、悲しいことに自科部は、夏にプログラミング大会ぐらいしか出る幕がないの。それに、ウチら三人組で出たんだけど、結果は二次審査落ち。しかも二年連続で。去年のときはウチの、今年は「あの子」のを出した。ウチのは落ちてもおかしくなかったけど、「あの子」のはなんで落ちたのは未だに腑に落ちないや。 それで、去年の二学期。ウチはあることに気づいちゃったんだ。最近「あの子」のことばっっかり考えていることにさ。ここに書くのが恥ずかしいけど……ウチは「あの子」に恋をしちゃったんだ。そこで、ウチはウチと仲が良くて「あの子」と接点がある恵屯に頼んで「あの子」に好きな子がいるか聞いてもらった。結果は…………いるとのこと。「あの子」のくれてヒントのおかげで候補は三人まで絞れたのに、ウチは最後までわからなかった。なのに、ウチは自分でもさらにわからない行動に出ようとしてたの。それはね……告白。 そして、その当日「あの子」の好きなクイズ形式で本人に解いてもらおうとしたんだけど、まさかの平中が答えちゃった。しかもしかも、告った後に「あの子」の好きな子を当てちゃって……しかも、当てずっぽう。結果は……よくわかんない。まあ、実質友達? 二年生のクラス替えは、ウチと「あの子」は同じクラスになれず、ウチは自分が苦手な須藤さんと同じクラスになった。ゆーうつな気持ちで児童玄関をくぐった瞬間…… 「◽︎◽︎さ〜ん!また同じクラスだね〜!」 須藤さんが職員室の真ん前でそう言ってきた。早く一年経ってくれと思ったよ。まったく……。 そして、ある日、死神にこう聞かれた。 「なあ、おまえあいつのことどう思ってんだ?」 「あいつ?」 「少年のことだ」 「どう?どうって……うーん……友達かなぁ〜」 はっきり言ってわからなかった。だって、そうやって自分で勝手に決めつけて、自分で勝手に傷つくのが怖いから。 『あんたのこと、友達だって思ったことないよ?』 嫌な記憶が蘇る。ウチはそれを振り払おうとして頭を左右に振る。 「よし、決めた!」 こうしてても、どーしようもないから。だったら…… 「本人に聞く!」 「こいつの頭どうなってんだよ……」 ウチは死神の小言を聞き逃さなかった。 聞く日、当日。いつものように部活後に校門の隅っこで話をする。 「えっと、◽︎◽︎◽︎くん。一つ聞いてもいい?」 「うん」 「えー、はっきり言うね」 ウチは沢山息を吸って言う。 「ウチのこと、どう思ってる?」 「どう?そう訊かれると答えにくいんだよな〜」 ここで答えてくれないと困る! 「じゃあ、性格とかどう思ってる?」 「明るいと思うよ」 そこで、ウチはさらに質問する。 「もし、あっこれ、たまごっち方式なんだけど、『知り合い』『友達』『親友・恋人』『大親友・熱愛』に分けるとしたら、ウチはどこ以上どこ未満?」 「あの子」は考えながら答える。 「うーん。親友以上……」 親友。ウチがまだなったことのない立ち位置。どこ未満なのか訊こうとした次の瞬間……。 「◽︎◽︎◽︎く〜ん!一緒にか〜えろ!」 男子剣道部員の板山が話の間に割って入ってくる。 「◽︎◽︎さ〜ん!」 須藤さんはウチの後ろにピッタリくっついてくる。 「あの、お二人さん。今真面目な話してるので」 「そっか。じゃあねぇ〜!」 須藤さんは去っていく。問題は……。 「あ、じゃあ俺のこと無視だと思って話続けなよ」 いや、誰が続けると思ってんだよ!? 「いやいや、『壁に耳あり障子に目あり』って言うけど隣に耳も目もバリバリあるじゃん」 「あの子」がつっこむ。そして「話、明日にする?」と囁いた。 「うん、そうしよ」 次の日 「で、昨日『親友以上』までいったけど、どこ未満?」 「うーん……」 その後、話は脱線して、戻って、脱線して、戻っての繰り返しだった。 そしてついに……。 「やっほー!◽︎◽︎さーん!」 来てしまった。その後、須藤さんはなんとか帰ってくれたが……。 「一難去って」 ウチの言葉を継ぐように「あの子」が 「また一難」 「◽︎◽︎◽︎くーん!」 板山がきれーに「あの子」にタックルする。一体、どんだけ「あの子」にタックルしたら気が済むんだ?あいつは。 「あっ、おーい◽︎◽︎!」 名前を呼ばれ、そちらを向くと、恵屯がいた。遅くなっちゃったけど、恵屯もウチや「あの子」と同じくスクラッチャーで、「あの子」には及ばないが、大物スクラッチャーなの。ウチの方が先にスクラッチャーになったのに……。くやしっ! 「何?昨日の話?だったら私が板山を引き止めとくよ」 恵屯アザッス! 「それで、親友以上……恋人未満でいいの……かな?」 「うん。そういうことだね」 それで、ウチと「あの子」の関係は「友達以上恋人未満」ならぬ「親友以上恋人未満」になった。 「親友」。それは「あの子」がウチにくれた大切で、大事な言葉。そして場所。