「スターライト傀儡日記」File.2 お尋ね者の稲妻疾風 ========================================= 「だあああああぁぁぁぁ.......マジめんどい」 薄暗い部屋にある椅子には気怠げな顔をした少年がだらしなく座っていた。 「紅さん人使いが荒すぎだろ......15歳にやらせることじゃないってこれ......」 彼の名は「東 雷疾(あずま らいと)」。黒髪に黄色と橙色のグラデーションのメッシュがところどころ入っていて、常に「R」のイニシャルのついた黒いキャップをかぶり、真っ黒な羽織を着ている。一言で表すならば、「かっこいい」だろう。 そんな彼は現在徹夜で武器のカスタムにあたっている。 ちなみに先ほど雷疾の言っていた「紅」とは雷疾の師匠にあたり、他のスターライトメンバーの武器の修理、カスタムをやっている。 銃という危険物を15の年の彼に、しかも寝不足の状態で触らせるというのはかなり危険な気しかしないが、 紅はそのままにしている。 暫くドライバーなどを動かすカチャカチャという音だけが部屋に響く。 と、コンコンとノックの音と共に、「入るよー」の声が静寂を破った。 「どーぞー....」 ドアを開けて入ってきたのは、スターライトのリーダー、「奥牙 文斗(おくが ぶんと)」であった。彼は徹夜の雷疾を心配して来たのだった。 「大丈夫?そんな無理しなくてもいいんだよ。もう2時だし...そろそろ寝たら?紅には俺から言っとくよ。あ、はい、これ、ココア。疲れてるでしょ?」 「ありがと....ございます」 雷疾はマグカップになみなみと注がれたココアをすすりながら答えた。 「だいじょぶです....過去に二徹したことあるんで....」 「ええぇぇ......それ本当に大丈夫?とりあえず.....寝る気ないなら......」 「?」 「何でもない。あ、後、これも飲んでね。」 「..........水?」 「うん。水。でもこれ、『目覚めの泉』からとってきたからいいと思うんだけど......」 「じゃあ.......飲みます。」 「どうぞ。」 雷疾は水をごくりと一口で飲む。すると、急激に眠気が襲ってきた。 「なにか.......いれたのか?」 文斗の顔は申し訳なさそうに曇っていた。 「紅から、『雷疾を寝かして来い』って言われて.....ごめん。納期は明後日に伸ばすらしいよ。」 「..........................」 「じゃあ、おやすみ。」 そこで雷疾は眠りに落ちた。ちなみに文斗が入れたのは睡眠薬。入れたのはごくごく少量だったが、それでも雷疾を寝かせるのには十分だった。 「はぁ...ずいぶん手のかかる寝かしつけ方法だな..」 文斗は苦笑いすると、椅子で寝息を立てている雷疾を抱き上げ、ベットに横たわらせる。 布団をかけて出ていこうとする文斗の目に雷疾が先ほどまで座っていた椅子と机が目に入る。 「......!すげえや......あの状況で......寸分の狂いなく回路つなげてやがる......こりゃあ.....紅が目ぇ付けんのも納得だな.....」 そしてドアノブに手をかけ、雷疾のいるベットを見やり、 「おやすみ、天才さん。」 と言って出て行った。 ____ (眠気が襲ってきて体が言うことを聞かなくなった。 喋るのも途切れ途切れにしかできず、海で溺れてもがいてるみたいだった。急に抱き上げられた所まで、そこまでは覚えているけど......) そこまで考えると、雷疾の意識は遠く、さらに闇へ落ちていった。 そして見覚えのある場所に意識が飛んだ。 (こ、ここは......?!) 恐怖が体(?)を駆け巡る。自らの人生を壊すかとも思えたあの経験。 「やーいやーい!なんか言ってみろよ親なし!」 「..................」 ああ、駄目だ。耐えれない。 『その力は使っては駄目よ.....ましてや人にはね。... ××、生きているものを哀れみなさい。肯定しなさい。......』 「ごめん、母さん。僕、約束.....破るね。」 目も眩む光が教室を駆け巡ったかと思うと.... ドガァァァァァァアァン.....メキメキメキ...... 「ひっ.......!」 そこからはよく憶えてない。ただ、気づいたら教室が焼け野原になってたこと、......."あの子"の帽子だけが残されていたこと...... 『私、青葉琉愛(あおば るきあ)。よろしくね!』 僕にただ一人、声をかけてくれたあの子.....いつも帽子をかぶって笑っていた...... 「いたぞ!奴が!捕らえろ!」 「!!」 窓に向かって、無我夢中で飛び降りた。死ぬと思ったら、誰かが支えてくれた___ 「俺は紅海琉唯斗(こうかい るいと)ってんでなぁ.....よろしく。」 ああ、あの笑顔.....暖かい.....もっと近くで見たい.... 「あ......」 意識が引き戻された。これは現実。頬に触れると、濡れていた。 (泣いてた.......のか........?) ドアの奥から声が聞こえる。 「ああっ!魁斗さんじゃあないっすかー!」 「るっせーな!俺は今紅なんだって!言いふらすなよ!....ったく、どうして第二の人生を満喫してる俺にそんなこと言うかなぁ......しかもうるさいし.....」 「いいじゃない。別に。もう辞めたんでしょ?」 「...っ!あ お前やったな!」 「トンズラァーッ!」 「......っち」 「.......おーい、起きてるか?雷疾.....」 「ん、どうぞー」 ガチャリと躊躇いがちに紅が入ってくる。 「もしかしてさっきの会話.....聞いてたか?」 「会話?何のこと?」 もちろんわざとだ。 「聞いてなかったならいい。......それよりお前、徹夜しようとしたんだって?体には気をつけろよ。」 紅がニッと微笑む。それにつられて、雷疾も笑う。 ああ、やっぱり.....暖かい。そっくり......てか一緒だ... あの時の暗闇を和らげてくれた彼を想って、雷疾は紅に抱き着いた。 笑顔の頬には、確かに涙の跡が光っていた____ ========================================= 以上っす!ありがとうございました! ~後日談~ 「ねー雷疾。」 「何?文斗。」 「いやこの前てか小さいとき学校で能力暴走させて挙句の果てに窓から飛び降りて逃げたって聞いたけど、それ、何学校?」 「え、イングシニアライトだけど.....」 「......?!あ、あの、超名門っ?!」 「うん。」 「えええぇぇ.....すげえな.....」 「まあまあ頭よかったし、運動に関してはいくらでもドーピングできたから。」 「.......ドーピングしたんか。」 「別に薬とかじゃないから検査しても引っかからなかったんだよね~」 「そうか.......(諦」 終わり