====================================== _某日。 まるで明かりなど存在しないかのように暗い廃れた歓楽街で、少女が一人彷徨っていた。 どこかに、逃げるようにして。 _それが、ある男の目に留まったようだ。 「…ちょっといいか?」 男が少女に声をかける。少女は聞こえていないのか、反応を示さない。 「…おーい、聞こえてる…?」 男がそう呼び掛けても、少女はこちらを振り向かない。 男は、ある可能性が頭に浮かんだ。 少女の肩を男が ポン、ポン と叩くと、少女は初めてこちらを振り返った。 _男は、目を見張った。 なぜなら少女が、「普通の子供」とは程遠い外見をしていたからだ。 無造作な黄金色の髪に、ボロボロな服。目は虚ろで、やけに白い肌が何だか痛々しい。 男が驚きのあまり立ち尽くしていると、少女が躊躇しながらも手話を始めた。 _はじめまして。 それを見て、男も、覚えたばかりのたどたどしい手話を始める。 _初めまして。あなたの名前は何ですか? _分からない。 幼くして手話を言語として使えているところを見ると、外見の割に、ちゃんと教育を受けていたのだろうか。 _そうですか。では、どこから来たのですか? _おうち。けいさつ?の人が来て、おじさんに逃げろって言われたから、逃げてきたの。 _そのおじさんは、あなたの親ですか? _ううん。知らない人。でも、いっかげつ?ぐらい一緒に暮らしてたよ。 男は唖然とした。風の噂で聞いた、拉致された少女が今、自分の目の前にいるかもしれないのだ。 聞くべきではないと、分かっていた。だが、人間は欲望には勝てない。つい、聞いてしまった。 _あなたに、親はいるんですか? 少女は、少し悲しそうな顔をしてから、答えた。 _分かりません。 と。 それが何を表しているのか、男はなんとなくわかった。それからは、長らく沈黙が続いた。 沈黙を破ったのは、少女のほうだった。 _ねえ、おにいさん。私、多分、「すてご」だと思うの。 …捨て子。 まだ九つにも満たなさそうな子供が発するには、あまりに重過ぎる言葉だ。 だが、男があることを決心するには、とても大事な一言だった。 _お兄さんに付いてきてくれる? _なんで? _行くところがないなら、お兄さんの仲間がいるところに行こう。 _わかった。 男は少女の手を引いて、自分の「寮」へ向かう。 どこか嬉しげな男の顔を、少女はずっと見上げていた。
※短い コメントしてくれるとほたてが嬉しすぎて泣く サムネ制作時間…約1時間 スペースキーで制作時間十分くらいの少女の落書きが 見れます