「私かい?そうだなぁ…. ああ、あの話があった….」 教授は滑るように喋り出した。 「この後の出来事には、私は一切干渉せず、責任も取らない。OK?」 私たちは恐る恐るOKを出した。 「あれは…悲しい事件だった。」 ぽつぽつと語り出した教授の顔からは、哀愁が漂っていた。 去年か一昨年かはたまたそれ以上かはわからないけれども、 一件の依頼が来たんだ。 離島に住んでいる富豪から、 ~行方不明者が出ている。解決してくれ~ そんなものだった。 どうして警察に相談しなかったか 疑問に思ったが、まあ礼金は弾む と言われて、ほいほいいってしまって….. 前言撤回!探偵には事件を解決する義務があるからね。 渋々行ったよ。 だけど不可解な事に、一本も船が通ってないんだ。そんで持って地図にも見当たらない。けど義務(執念) があるからね。 泳いで行ったよ。 (実に20km) ~一同騒然~ とても大きな島だったなあ。 そして依頼人にあったんだけどね。 容姿が整った人だった。 そして話を聞かせて貰った。 「館のメイドが度々消えるんです。」 色々聞かせて貰ったよ。 両親は他界してしまった事。 娘がいた事。 隠居暮らしをしている事。 そしていなくなったメイドの特徴 を聞くと、なんだか思い出せない様子だったなあ。 ようやく容姿や性格を思い出したよ。 次は同僚から、話を聞いたよ。 今野さんと言うらしい。 世間話や、日々の出来事を、 活き活きと喋っていたけれど、目は死んでいたよ。 でも話はかなり面白くて、2時間食われてしまったよ。 地味で目立たない人だったらしい。 とても元気な人だったなあ。 そして翌日、いなくなったメイドが帰ってきてね、みんな凄く喜んでたよ。 いなくなったメイドに話を聞いたら、 「暗闇を彷徨っていた。」 との事。 上手く思い出せないようだから、 聞くのをやめたけど、 何かが引っ掛かっていたよ。 違和感の正体はまだ分からなかった。 ベットの上で考えたら急にトイレに行きたくなってね、 場所がわからないのでウロウロし てたら、 手を拭くタオルが無いと依頼主が執事に怒鳴りつけていたなあ。 あれは怖かった。 「すぐに今野に持って来させますので...」 廊下を見ると、今野さんがタオルを持って、駆けてきたよ。 その時だった。 「今野って誰だっけ?」 そう依頼主が呟いたんだ。 今野さんが消えていた。 白いタオルを遺して。 そして僕は考えをまとめた。
↓解答編 ネタバレ注意 朝、依頼主に考えがまとまったと 伝えた。 「さあさあなんなんですか?この事件の真相は?」 嬉々として聞いて来る依頼主に 初めて嫌気が差したよ。 直球に言う事にしたんだ。 「この事件の犯人は、依頼主さん 貴方だ。」 明らかに動揺が浮かんだ。 「正確に言いますと、貴方の能力のせいです。」 「恐らく、貴方の能力は、妄想。 妄想を実体化する事が出来る能力です。」 「貴方、ずっと自分の能力に気付かなかったんですか?」 「ここにある建物、人、植物は 貴方が生み出した物です。」 「しかしこのチィーーート能力にも弱点があります。 覚えている限りでしか、妄想を 実体化出来ないのです!」 依頼主の顔がどす黒くなってきた。思い当たる節があるのだろうか。 「行方不明者が出たのも当たり前ですね。」 周りが実体を保てなくなってきた。 依頼主は憤慨した。 「そんなはずがない!妄想なんて 馬鹿げてる! そうだよな!執事!」 ーーー「そろそろ現実を受け入れてみてはいかがでしょうか。 ご主人様。皆自分は、 ご主人様に作られたと薄々勘付いていました。」 依頼主は泣いているのか、怒っているのか分からない様な顔でだったが、急速に老けていった。 まるで早送りの様に。 依頼主は気が狂った様に笑い始め、海へと飛び込んでいった。 「探偵様。ここにいては死んでしまいます。 ご主人様の最期の妄想で御座います。」 それは、小さなボートだった。 私は全速力で漕いだ。 執事がお辞儀をした直後、 島は沈んでいったよ。 今野さんの話を聞けなくなるのは 残念だけど、全て虚だからね。 最初で最後の優しさなのだろうか。ボートは岸に着くまで沈まなかった。 ーーーーーーーーーーーーーーー 何故か胸がギュッと締め付けられた。 いつもの教授の顔がとても恐ろしく見えた。 ーーー 速報です。◯◯海沿岸に遠く離れた場所で、男性の水死体が見つかりました。 コメンテーター..どうして海のど真ん中に水死体があるのか気なりますね〜- 時計は12時を告げている。 作者...行き当たりばったりで始まった、この物語。なかなか良い(?)終わり方をする事が出来ました。楽しかったです。 それではまたお会いしましょう♪ アディオス!