【夢乃side】 「やっぱり、噂は本当だったのね」 今や、どのスパイチームも欲している鉱石____「ブラッド」。 たった今、わたしは地下道で、紅く輝いているそれを見つけた。 わたしは、すぐさま通信機器の通信を再開し、ヘッドフォンに手をやる。 「司令官、聞こえる?」 『聞こえていますよ。どうぞ』 「…噂通りよ。『ブラッド』を発見したわ」 これには司令官も驚いたらしく、 『そうでしたか…!…目立った敵などは?』 「今までのルートを確認したけれど、ここに侵入してきた形跡はないから、居ないと思うわ。今から採取に取りかかろうと思う。」 『分かりました。では、ご武運を』 ここで、通信がいったん途絶えた。 わたしはなるべく足音をたてないよう、足元や周囲に注意しながら___ゆっくりと、紅色の光を放つ鉱石に近づいていく。 (足をとられるような罠も、触れたりしたら傷がつきそうなものも見られない。これなら大丈夫そうね) それはブラッドへ近づくごとに確信へと変わり____わたしたちが求めていた“希望”とも言えるそれを自らの手に取った。 「…よし」 手に取った瞬間、思わず安堵の声がもれた____そんな感情に浸るのも束の間、通信を再開させ、わたしはヘッドフォンのマイクから声をかける。 「…司令官。こちら、和泉夢乃です」 わたしが声をかけると、ブラッドを見つけた際に応答したときとは別の司令官が応える。 『こちら司令官、どうぞ』 わたしは、ほんのひと呼吸だけ間をおいてから、 「…たった今、ブラッドの採取を完了しました」 その言葉を紡いだ瞬間、少しのしじまが流れ。 『そうでしたか。…ブラッドの採取、そして任務遂行お疲れ様でした』 司令官の声から嬉々としているのが分かって、また安堵する。 「お気遣いありがとう。…これで、今日の任務の一切を終了することを報告するわ」 いつもの定型句を添えながら司令官に礼を言うと、司令官に代わって、わたしたち「Dream」のリーダー_____アンクロームさんが声をかける。 『…夢乃。こちら、アンクローム。今日は、ブラッドの採取に貢献してくれてありがとう』 通信機越しでも奇麗で、それでいて芯の通った声が、わたしの耳に入る。 「…いえ、当然のことをしたまでです」 『謙遜しなくたっていいじゃないか。君のおかげで、眠りについた人たちをまた一人救えるんだ____。…改めてお疲れ様。無事にここに戻ってくることを祈っているよ』 「はい、ありがとうございます」 『じゃ、ここでまた切る。帰りに何かあったら、また連絡をくれ。』 「了解しました」 彼女の根のあたたかさに触れながら、そこで通信を切る。 (…早く、帰らなきゃ…みんなの為にも) わたしはブラットを胸に抱えて地下道を出ようと、通気口のあった場所へと向かった。 【To be continued ...?】
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